2011 Fiscal Year Research-status Report
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23730055
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
稲森 公嘉 京都大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (20346042)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 医療保障 / 病院制度 / フランス / 比較法 / 医療制度改革 |
Research Abstract |
1.本研究課題は、医療サービス提供体制のあり方に関する喫緊の課題として、(1)医療資源の地域的偏在・診療科目間の偏在への対応、(2)病院制度のあり方、(3)在宅療養・訪問看護体制の推進のために必要な医療提供体制のあり方という3つの項目を取り上げ、フランスの法制度との比較を通じて考察しようとするものである。2.医療資源の適正配置は、医療サービスへのアクセス保障を目的とする医療保険制度にとっても無視し得ない課題であるが、わが国の医療保険制度に関して、医療サービス提供体制のあり方を意識しつつ、療養の給付の範囲や混合診療の可否、患者負担、予防やリハビリテーション、妊娠・出産に関する給付のあり方などを検討し、主に2000年以降に新たな動きのあった論点を中心に、「公的医療保険の給付」日本社会保障法学会編『新講座社会保障法第1巻これからの医療と年金』(近刊)にまとめた。3.2009年のHPST法によるフランスの医療制度改革の分析は本研究課題の主要なテーマの1つであるが、まずその最初の研究として、「病院公役務から公役務的任務へ―2009年HPST法によるフランス病院改革の一考察―」において、HPST法による諸改革のうち、病院公役務の廃止と公役務的任務への再編成の部分について、専門誌の特集号に掲載された諸論稿などを元に、その概要と現段階での評価に関する分析検討を行った。4.在宅生活の維持に関しては、「24時間安心の居宅介護保障と介護保険―定期巡回・随時対応型訪問介護看護の創設をめぐって」において、わが国の平成23年の介護保険法改正による新たな給付類型の創設について、その経緯と給付内容の検討を行った。5.このほか、フランスの医療保障制度の現状及び介護保障制度の改革をめぐる最近の議論動向について、文献調査を元に分析検討を進めており、いずれも年内には公表される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フランス法研究の部分に関し、HPST法による医療制度改革の検討はすでに着手し、病院公役務から公役務的任務への再編の部分についてはすでに研究成果を公表し、その他の部分の検討も進めているところであるが、予定していたフランスでの現地調査が諸事情によりできなかったため、在宅入院制度及び訪問看護師制度等についての調査分析がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きHPST法による2009年医療制度改革の分析検討を進めるとともに、在宅入院制度や訪問看護師制度等の調査及び分析検討に取り組み、現地の訪問調査や研究者との意見交換等を交えて、その法構造の解明に努めることとする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
引き続き文献資料の収集に努めるとともに、国内外のシンポジウム・研究会等に出席し、研究者・専門家等との意見交換を行い、また、現地の訪問調査を実施し、その成果を積極的に公表していくこととする。
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Research Products
(4 results)