2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23730055
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
稲森 公嘉 京都大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (20346042)
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Keywords | 医療保障法 / フランス / 介護保障法 |
Research Abstract |
1 本研究課題は、医療サービス提供体制のあり方に関する喫緊の課題として、①医療資源の地域的偏在・診療科目間の偏在への対応、②病院制度のあり方、③在宅療養・訪問看護体制の推進のために必要な医療提供体制のあり方という3つの項目を取り上げ、フランスの法制度との比較を通じて考察しようとするものであった。 2(1) 平成24年度は、前年度に引き続き、国内での文献調査と研究者等との意見交換を通じて、本研究課題に関する情報収集及び分析・検討を行った。なお、諸般の事情によりフランスでの海外調査を断念せざるを得なかった。 (2) 日本の医療保障法制に関する研究については、①社会保険による医療保障の特徴について分析した結果を「公的医療保険における保険原理と社会原理の均衡点」として取りまとめて公表したほか、②医療保険の給付に関する課題や論点を中心に、「公的医療保険の給付」にて、フランス法との比較も踏まえた検討結果を取りまとめて公表した。 (3) フランス法研究に関しては、①在宅医療・訪問看護体制とも密接な関係を有する介護保障法制をめぐる検討の結果について、「フランス介護保障制度の現状と動向」として取りまとめて公表したほか、②医療提供体制のあり方に関して、医療費保障制度と併せて、加藤智章編『世界の医療保障』(近刊)のフランスに関する一章を分担執筆した中で、検討結果を踏まえた記述を行った。。 3 フランスでは、①医療資源の偏在に対しては、医師養成課程での研修医のポストの地域別・診療科別の人数制限や地方でのグループ診療の展開等による対応がなされている、②病院制度については、HPST法による改革が実行中である、③在宅療養・訪問看護体制については、主に開業看護師を中心とした地域の医療ネットワークによる対応が展開されている。なお積み残された課題も少なくないが、それらは今後の研究においてさらに検討を深めていきたい。
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Research Products
(4 results)