2013 Fiscal Year Annual Research Report
労働関係におけるサンクション規制の課題と展望-日独の比較法研究-
Project/Area Number |
23730057
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
細谷 越史 香川大学, 法務研究科, 准教授 (60368389)
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Keywords | 解雇 / 勤務成績不良 / 非違行為 / 損害賠償責任 |
Research Abstract |
平成24年度に引き続き、まず、解雇法理の研究を発展させることができた。とくに労働者の過失行為および勤務成績・労務給付の不良による普通解雇法理については、平成24年度および同25年度のドイツでの研究・調査滞在を経て、ドイツの解雇法理を精緻に分析し理解を深め、ドイツ法から示唆を得て、日本の解雇をめぐる判例・学説を再検討することができた。 こうして、この研究を「労働者の非違行為等の事例に関する普通解雇規制の再検討」根本到・奥田香子・緒方桂子・米津孝司編『労働法と現代法の理論 西谷敏先生古稀記念論集(上)』(2013年、日本評論社)503~525頁として公表することができた。本研究は、これまで日本において検討が十分なされてこなかった労働者の非違行為や勤務成績不良を理由とする解雇に関する判例・学説を整理し直し、解雇制限を支える原理・原則の具体化を通じた判断基準の明確化を意図しながら今後の日本の解雇法理のあり方を展望して論じたものである。 また、平成25年度におけるドイツでの研究・調査滞在をふまえ、「労働者の損害賠償責任」土田道夫・山川隆一編『労働法の争点』(2014、年有斐閣)42~43頁および『労働者の損害賠償責任』(2014年、成文堂)1~220頁を発表することができた。ここでは、私のこれまでの労働者の損害賠償責任法理の研究を集大成するとともに、また(懲戒)解雇法理や退職金の減額法理などと損害賠償法理の関連性をも考慮しながら労働者の責任制限法理を検討し論じることができた。
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