2012 Fiscal Year Research-status Report
「刑事立法問題」の解釈論による横断的分析-刑事立法学の序論的研究
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23730066
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
嶋矢 貴之 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (80359869)
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Keywords | 刑事法 |
Research Abstract |
平成24年度は、条例・外国法の調査・研究による比較照応を中心に研究を遂行した。法令等から分析対象を広げ、地方での条例や外国での立法・法改正、法適用・運用を参考にして、「刑事立法問題状況」が生じていないかの調査・検証を行った。「刑事立法問題」の国内的・国際的な普遍性を明らかにすることを行った。 その際には、昨年度と同様の作業として、裁判例で何が問題となっているかに重点をおいて検討し、次の4つのパターン分けを行った。i新法令の正当性が争われている事案、(法令の合憲性等)ii新法令の法律解釈が争われている事案、iii新法令の構成要件該当事実の存否が争われている事案、iv事実認定の適否が争われている事案である 以上をを各犯罪について繰り返した上で、「刑事立法問題」に見いだされる共通項、固有の問題を取り出すという作業を行った。具体的には、条例・外国法についても、基本的には上記と同様の手順で、AおよびBの作業を繰り返す。条例については、条例処罰をめぐる裁判例(淫行規制や自販機規制)分析と実情調査を通じて、同じく「刑事立法問題」の抽出と解釈論的整理を行った。 加えて、後掲のとおり、昨年度の成果を部分的に公表する試みとして、我が国での著作権法改正によるいわゆる違法ダウンロードの犯罪化について、その立法過程を踏まえた妥当性の検証を行し、その研究報告を、他の法律分野研究者に対して行った。国会での委員会記録を精査した上で、故意や違法性の意識等、所期された処罰限定機能が実際上は機能しないことを理論的に示すとともに、社会的要請・妥当性を超えた犯罪化が行われているのではないかという指摘を行い、どのような方策が取られるべきかについての討議を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究対象がやや広範囲に及ぶため、所定の全範囲をカバーするには至っていないが、一部新規立法に即応して研究成果を公表する等、社会的要請にかなった実績をあげえているものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
やや遅れ気味の調査分野について、引き続いて調査を行うものとする。あくまで目的は、刑事立法問題の一般的問題化、その理論化であることを踏まえつつ、検討対象を戦略的に絞って意義のある成果を上げる方向で、研究を推進する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
繰越額は6000円強で誤差の範囲と考えるが、本年度、適切に新規刊行の図書の購入に使用する。
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Research Products
(1 results)