2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23730077
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
根本 尚徳 北海道大学, 大学院法学研究科, 准教授 (30386528)
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Keywords | 民事責任 / 差止請求 / 消費者団体訴訟制度 / 利益剥奪請求権制度 |
Research Abstract |
研究期間の最終年度に当る今年度は,まず,この間に進めてきた研究に基づく成果の取りまとめと公表とに力を注いだ。 具体的には,まず,(1)民事法上の主たる法益侵害予防手段である差止請求権の発生根拠および要件に関する問題として,いわゆる標準規格必須特許に基づく差止請求権の立法による制限の可否について,民法の一般法理に基づく検討を行い,その成果を学術論文として発表した。また,(2)集団的消費者被害の一般予防を目的とするいわゆる消費者団体訴訟制度(消費者契約法12条その他)に基づく適格消費者団体の差止請求権の効果(包括的差止請求の可否・条項改定請求の可否)について,同じく民法の一般法理を踏まえた分析を加え,その成果を学術論文にまとめた。 さらに,環境法政策学会2013年度第17回学術大会(2013年6月15日,於成蹊大学)・個別報告第5分科会において,岩橋健定弁護士による報告・島村健教授による報告・角松生史教授による報告(いずれの報告も,環境利益の保全や環境紛争における対立当事者間の利害調整に,民事責任法,特に差止請求権制度がどのような形で寄与しうるか,あるいはあるべき寄与を実現するためにいかなる理論的問題を克服しなければならないか,を検討するもの)に対し,民事責任法の研究者として,本研究の諸成果を基礎としたコメントを行った。 また,ドイツ不正競争防止法10条等所定のいわゆる利益剥奪請求権制度に関する基礎的研究,およびドイツにおける懲罰的損害賠償請求権制度をめぐる議論状況に関する分析も継続した。これらの作業に基づく研究成果も早期に学術論文として完成させ,公表する予定である。
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