2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23730079
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
小野寺 倫子 秋田大学, 教育文化学部, 講師 (10601320)
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Keywords | 民事法学 / 不法行為 / 環境損害 / 団体訴訟 |
Research Abstract |
今日、環境保護の重要性は、法学の領域においても重要な課題となっているが、日本においては、環境侵害から環境それ自体に生じた損害(純粋環境損害)の賠償に関する研究ははじまってまもない。そこで、本研究においては、まず、23年度から24年度にかけて、この問題について学説・判例の蓄積のあるフランス法を対象として、国内及び海外において研究者へのインタビューや文献の調査・分析行い、日本法への示唆の可能性を探求した。その成果は、論文「人に帰属しない利益の侵害と民事責任―純粋環境損害と損害の属人的性格をめぐるフランス法の議論からの示唆―(1)~(3・完)」(北法62巻6号、63巻1号、63巻4号)として公表した。 さらに、最終年度である平成25年度においては、まず、9月10日~11日ににかけてパリで開催されたアンリカピタン協会日仏二国間研究集会・民法セミナー「損害論 伝統と現代」において、上記論文中の研究成果のうち、特に日本における環境侵害の民事救済に関する民法及び民事訴訟法に関する研究内容について研究報告を行い、当該問題に関する日本法の状況について海外への情報発信を行った。また、同セミナー参加の機会に、フランス側報告者から、上記論文公表後における純粋環境損害の賠償に関するフランス法の状況について、最新の情報の収集を行った。その情報を手掛かりに収集した文献等の分析に基づき、平成26年1月11日慶応義塾大学において開催された改正物権法研究会において、「環境利益論:環境の法的保護―フランス民事責任法における立法の試み―」と題する研究報告を行った。その後、この報告の内容をもとに、論文「環境の法的保護―フランス民事責任法における立法の試み―」を執筆した。
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