2012 Fiscal Year Annual Research Report
手続的側面を重視した少数株主締め出し規制に関する研究
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23730082
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
伊藤 吉洋 近畿大学, 法学部, 講師 (50582897)
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Keywords | 支配株主 / 少数株主 / 締め出し |
Research Abstract |
本研究は、組織再編等によって支配株主が少数株主を締め出す行為(締め出し取引)について、少数株主が利用する事後的な救済措置において手続的側面を重視した運用を行うべきことを提案するとともに、アメリカの議論を参考にして、事前と事後との二つの効率性の観点から、順守されるべき手続の細部を明らかにした上で、明確な標準を示すことを目的とするものであった。 当該目的に従って、平成23年度は、第一に、日本の既出の裁判例ならびにそれに対応した実務および学説に加えて、最新の裁判例等を継続的に分析し、①各当事者にとっての、裁判結果についての予測可能性を高めることと②二つの効率性の観点との必要性について引き続き確認した。第二に、アメリカの既出の裁判例について紹介した上で、当該裁判例を批判し、順守するよう要求されるべき手続について二つの効率性の観点から提案を行っているGilson & Gordon、Subramanian等の見解を紹介・考察するとともに、それらの見解と対極にある見解からの批判について紹介・考察した。第三に、上述の各見解には、特に、事後的な効率性に対して大きな影響を及ぼしうる情報開示規制についての検討の不十分さという問題点があることを確認し、そのような問題点を補うために、その点に関する州法に加えて、連邦法による規制や学説について調査・考察を行なった。 平成24年度は、不十分ながらも、アメリカ特有の法的および社会的状況を確認し、以上の議論に及んでいる黙示的な影響について分析し、日本において行われるべき特別な取り扱いについて検討することを試みた。その上で、総合的に考慮すれば合理的であると評価できるアメリカの議論を用いて、現在も発展し続けている日本の議論(裁判例・学説・実務)を批判的に検討し、その上で、順守するよう要求されるべき手続の細部までを明確にした、我が国への具体的な提案を行なった。
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Research Products
(3 results)