2013 Fiscal Year Annual Research Report
身元保証の実証的研究:企業の身元保証の利用と意識に関する実態調査
Project/Area Number |
23730088
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
能登 真規子 滋賀大学, 経済学部, 准教授 (60378429)
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Keywords | 身元保証 / 保証人 |
Research Abstract |
本研究は、現代の身元保証の実態を明らかにすることを目的に、平成23年度から平成25年度にかけて実施した。最終年度である平成25年度には、平成24年度(2012年度)に行った調査票を用いた実態調査の結果の公表を開始した。「現代の身元保証―2012年度実態調査―」と題し、初回分は彦根論叢399号(2014年3月)に掲載された。順次、連載する。 2012年調査では、上場会社3,545社(全社)のうち333社、非上場会社4,313社のうち592社、合計925社から回答が得られ、そのうちの687社、74.3%が従業員(被用者)に身元保証書を提出させていると答えた。 本研究の先行研究・先行調査である1963年調査に関し、西村信雄は「身元保証は、徳川時代の『人請』の遺物であり、わが国における永年にわたる伝統的慣行が残存しているにすぎず、今日においてはすでに形骸化し、被用者を採用するに際して、いわば惰性的に慣用されている形式的手続にすぎない」と指摘していた。本研究の調査結果は、まず、半世紀を経た今日に至ってもなお、身元保証の慣行が廃れていないことを示した。そして、同時に、身元保証を実施していない会社の割合が増加したこと(1963年調査:705社中42社(6%)、2012年調査:925社中231 社(25%))、身元保証の形骸化・形式的手続化という特質がより強まったことも明らかにした。 従業員(被用者)の引き起こした損害について身元保証人をその担保と位置づけるのであれば、その者の雇用が継続している以上、身元保証契約の更新が必須となるはずであるが、そこまで徹底している会社は少ない。身元保証人に対する請求が現実化することも多くはなく、さらに、身元保証書に署名押印する人物に求める要件も緩和される傾向が見られる。本研究の成果は、結果的に、身元保証の契約としての位置づけの再考を求めるものとなっている。
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Research Products
(1 results)