2011 Fiscal Year Research-status Report
「利益・権利」実現のための情報取得~民事の実体法ルールと手続法ルールのあり方~
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23730094
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
岩藤 美智子 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (70324564)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 情報開示義務 / 情報開示請求権 |
Research Abstract |
(1)ドイツ法における情報開示請求権・情報開示義務についての検討:BGBにおける情報開示義務に関する個別規定の状況、及び、信義則に基づいて、一般的な情報開示義務を基礎づける裁判例の具体的な規律内容を調査・検討した。情報秘匿利益としてプライバシー、刑事訴追可能性、営業秘密、守秘義務をあげ、民事の実体法及び手続法上の情報開示請求権について包括的に論じる学説(Stuerner, Mohrenfels Konrad Haeffs等)を検討した。(2)自発的情報開示義務と開示情報の真実性担保についての検討:戦略的情報非開示による非効率を回避するために、自発的情報開示を前提とする特約による回避の対象としての任意規定(ペナルティー・デフォルト)について、証明責任分配ルールをめぐる議論と対比しつつ検討した。また、ドイツ法における自発的情報開示についての議論を検討し、開示情報の真実性を担保する方策として、宣誓に代わる保証(Eidesstatliche Versicherung:BGB259/260,FamFG31 I)についても考察した。(3)民事手続目的論の検討:訴権論・私権の既存生ないし民事手続制度の目的に関する議論について考察を加えた。これと関連して、ドイツにおける段階訴訟(Stufenklage)を検討し、情報開示請求権を実現するための民事手続のあり方について考察を加えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請交付書に記載した23年度の研究計画について、(1)ドイツ法における情報開示請求権・情報開示義務についての検討、(2)自発的情報開示と開示情報の真実性担保についての検討、(3)民事手続目的論の検討のいずれについても、行うことができたことから、研究の目的達成に向けて、研究は、概ね順調に新訂しているものと評価することができる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、(1)情報の偏在事例における制度的・理論的対応についての検討、(2)アメリカ法における信認関係法理の検討、(3)情報開示の方法とその理論的基礎づけについての検討、(4)アメリカ民事訴訟法における情報開示手続についての検討、(5)非訟手続についての検討を行う予定にしている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は、資料収集のための旅費(国内)及び、アメリカ民事訴訟手続法関連図書、法の経済分析関連図書等の物品の購入、インクカートリッジ・コピー用紙などの消耗品の購入にあてる予定である。
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Research Products
(1 results)