2012 Fiscal Year Research-status Report
知的財産権侵害における損害賠償法の再検討 ‐不当利得法の視点から‐
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23730095
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
油納 健一 広島大学, 法務研究科, 教授 (20325236)
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Keywords | 不当利得 / 知的財産 / 使用 / 損害賠償 / 侵害 / 返還義務 / 返還請求権 / 使用利益 |
Research Abstract |
平成24年度で検討した、侵害利得論における“有体物の無断使用”に関するドイツの判例・学説が、知的財産権侵害の事例にいかに応用されているのか、すなわち、知的財産権侵害の事例において“不当利得制度”を用いた場合の返還義務の対象と「権利の使用利益(使用料)」算定の問題についての研究を開始した。 知的財産権侵害において不当利得が問題となったRG・BGH判決と不当利得法学説(差額説・割当内容説)を、6割以上収集し、現在収集に並行して分析を進めている最中である。 資料収集と分析が完了していない段階であるので、明確な結論を持っているわけではないが、現在のところ、“有体物の無断使用”の場合と知的財産権侵害の場合に、不当利得規定の適用の点で、特に相違はないように思われる。 もし相違がないようであれば、我が国においても、“有体物の無断使用”に関するドイツの判例・学説を知的財産権侵害の場面に応用できる可能性があり、今後の研究の進展に期待しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、計画通り研究を遂行することができたから。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に収集できなかった資料(全体の4割未満)について引き続き収集を行い、検討を加えることにする。 また、平成24年度で検討した、侵害利得論における“有体物の無断使用”に関するドイツの判例・学説が、知的財産権侵害の事例にいかに応用されているのか、すなわち、知的財産権侵害の事例において“不当利得制度”を用いた場合の返還義務の対象と「権利の使 用利益(使用料)」算定の問題についての研究を継続する。 また、有体物の無断使用に関する場合と異なった考えた方を採用する判例・学説があれば、なぜその必要があったのか、どんな利点があったのかなども含めて明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の研究計画を遂行するために、随時研究費を支出する。応募者の勤務校には、不当利得法に関するドイツ法文献が少ないことから、本研究の計画遂行のためには、国会図書館、最高裁判所、東京大学附属の外国法文献センター、他大学の図書館等に出張する必要がある。したがって、研究経費において調査・研究旅費、複写費が必要となる。 また、この問題に関係する近年発行の最新著書を網羅的に収集する必要があり、研究経費において不当利得法・知的財産法関連図書の購入が必要となる。 平成23・24年度は科研費を全額使用する予定だったが、未使用額が発生してしまった。23年度については、山口大学が資料収集目的の旅費支出を認めなかったため、旅費が思うように使用できず(私は23年度まで山口大学に所属し、24年度から広島大学に移籍した)、24年度については、広島大学ロースクールに移籍し、研究・教育環境に大きな変化があったため、若干の計画の遅れが生じたためである。もっとも、計画はおおむね順調に進展している。 平成25年度では、この若干の遅れを取り戻す計画であり、科研費をほぼ全額使用できるものと考えている。
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