2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23730103
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
遠藤 隆幸 東北学院大学, 法務研究科, 准教授 (60387462)
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Keywords | 面会交流 / 支援 |
Research Abstract |
24年度は、主として交流権・監護権の制約という視点から、「付き添い交流(begleiteter Umgang)制度」と「交流保護制度(Umgangspflegschaft)」というドイツ法の交流関与制度を検討した。そして前者につき、ドイツ民法典1997年改正において、裁判所による交流の排除および制限について定める1684条4項に付き添い交流が明文化され、付き添い交流が交流制限の一態様という位置づけを与えられたことを明らかにした。また後者につき、交流保護人の権限と親権の制限との関係を、立法理由の検討から明らかにした。以上から以下の点を日本法の立法的課題として提示した。 民法766条改正による面会交流の明文化は、従来の実務を踏まえその根拠を明示した点で一定の評価ができるであろう。しかしながら、改正規定が明らかにしたことは、面会交流の審判対象性のみである。面会交流の実体法上の権利性、面会交流を制限する際の基準、面会交流支援のための裁判所の関与の程度、これら三者の関連性などは依然として、法文からは明らかになっていない。いずれも今後の面会交流に関する解釈論・立法論的課題として積み残されているといってよい。 交流に関する権利性を明文化し、交流権の制約場面を比例原則に準拠し段階的に規定したうえで、交流支援を監護権・交流権の制約として位置づけ、その利用場面を明確化するというドイツ法の試みは、日本の面会交流規定の今後の在り方を考えるにあたり重要な視座を与えているように思われる。とりわけ面会交流の制限がアド・ホックになされ、支援の名の下に裁判所の関与が放縦化されないよう、面会交流の権利性を親の権利として明示することの必要性は極めて高いのではないか。面会交流の権利が原則として尊重されることを前提として、裁判所および第三者による交流支援は整備され、実現されるべきである。
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