2012 Fiscal Year Research-status Report
事業者間契約における不当条項規制をめぐる民法・消費者法・競争法の発展可能性
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23730108
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
大澤 彩 法政大学, 法学部, 准教授 (30510995)
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Keywords | 民法 / 消費者法 / フランス法 / 競争法 |
Research Abstract |
本年度は、事業者間契約における不当条項規制について、裁判例の現状、立法提案、消費法との関係を中心に、日仏比較を行った。具体的には、日仏比較論文をフランス語で執筆し、2012年9月にフランス・パリ第2大学の日仏若手セミナーにて報告した。一方で、事業者間契約における不当条項規制の立法のあり方を研究する上で不可欠であり、立法化にあたって影響を与えることが予想される現行の消費者契約法の問題点については、不当条項リストの見直しのあり方、一般条項である消費者契約法10条の問題点を中心に分析を行った。その際、不当条項リストの見直しにあたっては従来の民法による不当条項規制のあり方が参考となることから、違約金条項を中心に民法における不当条項規制についても概観した。 2012年度後半からは、フランス消費法典の規制基準となっている「著しい不均衡」と、事業者間契約における濫用条項規制の可能性をもたらしている商法典L442-6条1項2号における「著しい不均衡」が果たして同じ概念であるのかについて、フランス民法学において見られる「契約における濫用」論、さらには競争法における濫用論などを参考に研究を進めている。その際、「著しい不均衡」概念をめぐる判断が下された憲法院判例の分析や近時の「著しい不均衡」概念をめぐる論文も参考に研究を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2012年9月のフランスにおける報告においては、日仏両国における事業者間契約の濫用条項規制を概観し、比較するにとどまった。本来であればここから一歩進んで、消費法と競争法における「著しい不均衡」概念の違いについて、民法における「契約における濫用」論も参考に学術論文を執筆する予定であったが、以上の報告準備に予想以上の時間を費やした。民法・消費法・競争法における「濫用」概念に関する論文公表は2013年度に行う。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である本年度は、事業者間契約における不当条項規制の根拠を探求するため、フランス商法典L442-6-I第2号の「著しい不均衡」の解釈をめぐる近時のフランスの議論を分析した上で、近時のフランスで注目されている「契約法における濫用」論や「契約法における優越的地位の濫用」論を参考に、民法・消費法・競争法における条項の濫用性の相違点、さらには不当条項規制の根拠の相違点について分析し、数回に分けて論文を公表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2013年9月にフランスにおける「著しい不均衡」概念をめぐる最新の研究状況を確認するため、フランスにて調査を行う。そのための旅費を支出する予定である。また、研究成果を広く研究者に配布する。
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Research Products
(5 results)
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[Book] 法律文化社2012
Author(s)
松川正毅・金山直樹・横山美夏・森山浩江・香川崇
Total Pages
155-161, 176-182
Publisher
判例にみるフランス民法の軌跡