2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23730109
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
幡野 弘樹 立教大学, 法学部, 准教授 (40397732)
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Keywords | 代理懐胎 / 代理母 / 身体 / 人権 / フランス / ヨーロッパ |
Research Abstract |
本年度は、2年計画の研究の最終年度であった。研究目的では、①代理懐胎をめぐるフランス国内の議論の進捗状況、②身体の法的地位に関する基礎的研究という2つの課題を掲げていたが、具体的には以下のような成果を上げることができた。 1. 代理懐胎をめぐるフランス国内の議論の進捗状況については、「身体の処分不可能性」を理由として代理懐胎により出生した子と代理懐胎を依頼した夫婦との間の完全養子縁組を認めなかった、フランス破毀院全部会1991年5月31日判決を分析する論文を公表した(後掲『判例にみるフランス民法の軌跡』書に掲載)。また、2011年にフランスで生命倫理法の改正があったが、結局代理懐胎は容認されなかった。この2011年改正前後の代理懐胎をめぐる議論状況についても紹介を行った(研究発表欄の「学界展望」論文)。さらに、京都大学において行った講演会(2013年3月24日開催)で、フランスにおける代理懐胎についての議論状況も紹介した。 2. 身体の法的地位に関する基礎的研究については、2011年の生命倫理法改正前に行われた「人の身体を処分する自由」と題するシンポジウムの講演録の紹介を行った(研究発表欄の「学界展望」論文)。さらに、先に述べた京大において行った講演会でも、血液や臓器、その他の人由来物の法的地位、とりわけ対価を支払った交換が可能かという問題について報告を行った。 3. その他、身体の問題と直接は関係しないが、ヨーロッパレベルでの家族法の自由化・個人主義化が進んでいるという見地から、直系姻族間の近親婚の禁止を自由化する方向での判断を下した、ヨーロッパ人権裁判所2005年9月13日判決の分析も行った(後掲『ヨーロッパという秩序』書に掲載)。 以上のように、研究目的・研究実施計画に沿った形で成果を上げることができた。
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