2012 Fiscal Year Research-status Report
知的財産権の権利範囲調節の仕組みと無体財産取引の動態に関する研究
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23730117
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
前田 健 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (80456095)
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Keywords | 知的財産法 / 特許法 / 著作権法 |
Research Abstract |
本年度は研究の2年目であり、前年度に確立した研究の方向を継続して実行し、いくつかの成果を公表することができた。 定常的な情報収集の場として、昨年度に、東京で開催される主に特許法関連の研究会のメンバーとなり、また、著作権に関しては、コンテンツビジネスにかかわる法曹・企業実務家との勉強会という形のネットワークを確立したが、その場における情報収集は今年度の前半までも継続して実行している。今年度後半からは在外研究する機会を得たが、テレビ会議による参加等、後半もそのような情報収集は継続している。知的財産権をめぐる実務の問題状況についての正確な認識を得る作業は継続して行っている。 特許法に関しては、特許権の保護範囲論と明細書による開示の関係について研究して助教論文の公開に向けた作業を継続し、本年度の中ごろに研究所の出版に至ることができた。その他この業績に関る小論稿も公開し、来年度にもこれに関する業績の公開を行うこととなる予定である。 著作権法に関しては、侵害主体論に関する最高裁判決の判例評釈を昨年公開したが、それに引き続いて研究を行い、私的複製に関する問題点を指摘した論文を学術誌に公開することができた。情報財の取引に関する理論、主に価格差別理論などの成果を取り込んだ論稿である。また、同論文の公開後も、著作物の取引に関する研究は継続しており、今後は、私的利用に関する理論をさらに深めていくとともに、孤児著作物の問題等にも研究を広げていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画は順調に進行し、多数の論文を公表することができた。 昨年度は、立ち上げ期間ということもあり目立った成果を公表することができなかった部分もあった。本年度は昨年からの研究が目を結び始め、多数の論文を公表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度後半より在外研究の機会にめぐまれたたま、アメリカの議論の動向をフォローしやすい環境に身を置くことができた。この点を最大限に生かし、比較研究の対象としてアメリカを対象においた研究をしたいと考えている。また、アメリカで新しい法学の方法論を学ぶ機会を得たので、この点を取り込んだ研究の推進にも力を入れたいと考えている。 特許法に関しては、昨年度から継続している助教論文に関する論文の成果公表作業を継続する予定である。著作権に関しては、私的利用に関する理論の更なる進化、そのた著作物の利用の円滑化をめぐる諸論点に関して、考察を深めていくことを計画している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度は、在外研究を行うこととなったため、海外資料の収集などに重点を置いた予算執行を行うこととなる予定である。必要に応じてアメリカ国内での出張を行う可能性もある。国内資料も当然必要なため、その資料の収集も当然ながら継続する。また、国内の研究会・勉強会には直接参加は難しいものの、引き続き電話会議その他の方法で参加を計画しているため、そのために費用が必要となる可能性もある。
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