2012 Fiscal Year Annual Research Report
反復的著作権侵害者のインターネット切断制度の日本への導入必要性の検証
Project/Area Number |
23730124
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Research Institution | 東京都市大学 |
Principal Investigator |
張 睿暎 東京都市大学, 環境情報学部, 准教授 (80434231)
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Keywords | 三振アウト / スリーストライクルール / 著作権侵害 / インターネット / プロバイダ責任 / ISP / プライバシー |
Research Abstract |
本研究では、三振アウト制度に関してすでに活発な議論が行われている欧州諸国および米国での現地調査をもとに、日本に三振アウト制を導入する必要性があるか否かを検証した。 1.諸外国における三振アウト制度の運用上現れた問題 (1)個人情報およびプライバシー問題:ISPが反復的侵害者を管理するためには必然的に最初の侵害以降に当該IPアドレスの利用状況を一定範囲で確認し保管しなければならず、プライバシーや通信の秘密を侵害するおそれ、(2)制度の実効性問題:本制度は自宅でのインターネット使用を前提としているが、職場や学校において反復的に著作権を侵害した場合にはどう対応するか、アカウント名義者と著作権侵害者が同一でない場合、インターネット回線の名義者に責任を負わせるか。 2.三振アウト制度の今後-日本導入は慎重であるべき 三振アウト制度を導入し,実際の運用にいたるまでには越えるべきハードルが多い。三振アウト制度を導入するか否かを議論する際には、各当事者の立場を十分考慮して慎重に事前研究を行うべきである。また、議論の結果、三振アウト制度を導入することになったとしても、制度をどのように構成するかが課題として残る。P2P取締に集中するのか/ウェブサイト上の侵害に限定するか、ダウンローダを含むか/ヘビーアップローダに限定するか、個人ユーザのアクセス切断か/あるいはウェブサイトのブロッキングか、ホスティングプロバイダーレベルで限定するか/アクセスプロバイダーまで含むか、制度は立法で決めるか/それとも権利者とISP間のビジネス提携にするか、立法型であれば、侵害ユーザの刑罰型にするか/ISPの行政規制型にするか,、かかる費用は政府・著作権者・ISPでどのように分担するかなど、様々な要素によって制度の中身が変わるだけに、制度構想の際には、国内の現状を把握し、明確な目標を設定したうえでの検討が要求される。
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Research Products
(3 results)