2011 Fiscal Year Research-status Report
有権者の政治的な態度と行動におよぼす対人接触とマスメディア視聴の影響の解明
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23730135
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
白崎 護 京都大学, 文学研究科, 研究員 (30362560)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | パネル分析 / マスメディア / パーソナル・ネットワーク |
Research Abstract |
"Effects of Personal Exchange and TV News on Political Affections - An Analysis of Japanese Election Study III Data -" と題する論文を執筆し、昨年9月に草稿を関西行政学研究会で発表した。インターネットが有権者の政治的な態度と行動におよぼす影響を解明するため、まず同時期のテレビニュース、およびメディア情報を解釈する対人環境が有権者におよぼす影響を調査した。概要は以下の通り。2001年から2005年の小泉政権期のデータであるJESIIIを用い、対人接触とマスメディア視聴が、有権者の首相・自民党・民主党への感情温度(0~100の数値で、値の大きなほど対象を好感する)へ与える影響を論じ、二大政党制成立期の有権者意識を解明する。パネル分析とクロスセクション分析を併用し、操作変数を用いた一般化モーメント法で変数の効果を厳密に測定した結果は以下の通りである。調査回答者との政治的会話の頻度が最も高い周囲2名が自民党支持の場合のパネル分析では、保守的イデオロギーの保持が回答者の自民党への感情温度を高めた。他方、会話頻度や会話相手の政治的な知識量、そしてNHKニュースの視聴は感情温度に影響しない。同じく回答者との会話頻度が最も高い周囲2名が自民党支持の場合のクロスセクション分析では、各年の国政選挙につき以下の知見を得た。第一に、保守的イデオロギーの保持が回答者の自民党・首相への感情温度を高め、逆に民主党への感情温度を低めた。第二に、会話頻度は回答者の自民党・首相への感情温度を低めた。第三に、ニュース視聴は2005年選挙での自民党への感情温度を高めたのみで、首相自身の人気向上を導かなかった。また、ニュース視聴は民主党への感情温度に影響するが、一定の傾向を看取しない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
操作変数法に基づくGMMをJESIIIデータに適用し、TVニュースが政党支持・投票に与える影響を厳密に測るパネル分析・クロスセクション分析の英語論文を関西行政学研究会で発表した。現在、同論文は英文校閲を経て修正中である。再度の校閲を経て、American Political Science Review に投稿する。同じデータを用い、保守・革新イデオロギーが政党支持・投票行動におよぼす影響を測るパネル分析論文が、現在、Social Science Japan Journalで査読中である。表題は、"Japanese People’s Ideology in Koizumi Government"である。また、2009年までの研究成果に今回の研究成果を加え、修正した約26万字の論考をグローバルCOEプログラムの単著として発刊するためグローバルCOE事務局の審査が現在実施中である。表題は「政治意識の形成過程~社会学モデルの周流~」である。
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Strategy for Future Research Activity |
"Effects of Personal Exchange and TV News on Political Affections - An Analysis of Japanese Election Study III Data -"に関して、研究会および英文校閲の過程で指摘された問題点を修正する。再度の英文校閲を経て、海外の査読付雑誌に投稿する。あわせて、間もなく査読結果を得るSocial Science Japan Journalへの提出稿、およびGCOE事務局への提出稿に関しても、指摘された問題点を修正のうえで、再度投稿するつもりである。最後に、今年度に実施されるGCOE関連の国際学会において、研究成果を報告する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の支出予定の通り、より精度の高い英文校閲に予算を割く。また、やはり当初の支出予定の通り、計量分析に要するソフトウェアのバージョンアップに予算を割く。加えて、各種の学会・研究会への出席のための旅費を予定通り支出する。その他、モニター・プリンターなどPC関連機器の破損という予想外の状況に対応するために、予定していたソフトウェア関連支出の一部をPC関連機器の購入に充当したい。以上が、現在予定している主な支出項目である。
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