2012 Fiscal Year Annual Research Report
有権者の政治的な態度と行動におよぼす対人接触とマスメディア視聴の影響の解明
Project/Area Number |
23730135
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
白崎 護 京都大学, 文学研究科, 研究員 (30362560)
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Keywords | ソーシャル・ネットワーク / マスメディア / 投票行動 / コロンビア学派 / ミシガン学派 |
Research Abstract |
研究成果として単著を執筆した。本著は六部から成る。第一部では、1940年代から現在に至るマスメディア研究でのコロンビア学派の役割を検討する。その際、有権者に対するマスメディアと対人環境の影響過程についての同学派の見解を検討する。この結果、社会学モデルを社会学的属性決定主義と解釈する通説の誤謬が明らかとなる。第二部では、対人接触の効果に関心を移した同学派の動向から起論し、対人環境が有権者に同調を強制すると考えた同学派の主張を検討する。同時に、第二部ではミシガン学派の説を検討する。この結果、ミシガン学派とコロンビア学派が想定する社会学的属性の内実の差異が判明するとともに、この差異が両学派の世論調査手法に基づくと指摘される。さらに、この差異は社会学的属性が投票行動に影響する理由の差異をも招く点を指摘する。第三部では、ソーシャル・ネットワーク研究史を概観後、コロンビア学派の問題意識に着想を得て1980年代以降に政治的ネットワーク論を大成したHuckfeldtらの研究を検討し、普及研究が彼らにおよぼした影響を検討する。第四部・第五部では各々1993年・1996年のデータを使用し、周囲の人々の党派性とマスメディア視聴が有権者の党派性と投票行動およぼす影響を解明する。第六部では2000年のデータを使用し、配偶者・知人への有権者の認識の構造を解明する。また、この認識が本人の党派性におよぼす影響を解明する。
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