2011 Fiscal Year Research-status Report
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23730137
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
安井 宏樹 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (60396695)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 議院内閣制 / 分割政府 / ガバナンス / 政策立案 / 立法過程 / 政党政治 / ドイツ / 日本 |
Research Abstract |
研究の初年度であることから、今後の基礎となる先行研究の整理を進めつつ、ドイツの事例についての分析を開始した。 まず、戦後ドイツにおける政権運営の全般的特徴に関する研究を進め、(1)ドイツでの連立政権のガバナンスは複層的な存在であり、その中でも非公式な連立与党間協議の場が重要な役割を果たした、(2)連立与党間協議の実質性は、連立与党が互いに政権離脱の威嚇力を現実的に有しているか否かという点に大きく左右された、といった知見を得た。これらの成果を日本比較政治学会の2011年度研究大会で発表した上、そこで受けた指摘を踏まえて論文「ドイツにおける「小連立」政権の運営:小政党の影響力とその限界」を執筆し、『神戸法学年報』に掲載した。 それと並んで、政策立案・立法過程の比較対象政策領域の一つである福祉政策についての研究も進めた。その成果を活かして、近藤正基氏(大阪市立大学)の著作『現代ドイツ福祉国家の政治経済学』(ミネルヴァ書房、2009年)を対象とした書評論文を執筆し、『大原社会問題研究所雑誌』に掲載した。 また、ドイツにおける分割政府の研究も進め、(1)分割政府の出現とその態様には時代的な差異があり、(2)その差異には政党システムのあり方(とりわけ、多党化と二大政党の勢力の伯仲化)が大きく影響している、との知見を得た。その成果は既に脱稿し、2012年夏にUniversity of Tokyo Journal of Law and Politicsに掲載される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データの収集や現地調査などの面では当初の計画より若干の遅れが見られるものの、分析・検証や研究成果の講評といった面では当初の計画以上に進展しているところもあるため、全体的に見れば、おおむね順調に進展しているものと評価できるため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、データの収集や現地調査などをさらに進めるとともに、日本の事例についての分析・検証を推進して、全体的な分析枠組みの精緻化に努める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
年度末の3月にも研究活動を切れ目なく展開できるようにすべく、旅費と物品費の一部を2月までに使い切らないようにしておいたところ、一部が残り、「次年度使用額」となった。次年度はその残額も含めて執行する。
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Research Products
(3 results)