2011 Fiscal Year Research-status Report
移民外国人問題の争点化と「国家・民族関係」の影響に関する国制史的研究
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23730140
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
梶原 克彦 愛媛大学, 法文学部, 講師 (10378515)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 少数民族問題 / 移民問題 |
Research Abstract |
本研究では、移民・外国人問題の争点化に際して、移民や外国人の文化的異質性そのものよりも、受け入れ側であるホスト社会の民族構成や自国イメージを重視する。そのため考察対象である19世紀末から現代までのオーストリアを、まず国家形態ごとに、多民族国家・国民国家・超国家組織に分類し、「国家と民族の関係」を異にしている三つの異なる国家形態がいかなる自国のイメージを作り上げ、そのことが文化的に異質な集団への対応や移民政策に与えた影響の相違を検討している。 本年度に進めた内容は主として以下の三点となる。第一に国内で入手可能な文献の読み込みによる基礎研究である。主として現代ヨーロッパにおける少数民族問題と移民問題の事例と対策に関する実例の検討ならびに少数民族問題への理論的アプローチの整理、大戦間期における国家イメージの研究を行った。 第二に少数民族問題に関する資料の収集をオーストリア国立図書館ならびにウィーン大学図書館において行った(実施期間は平成24年2月26日から3月14日)。時間と経費の節約のため、春季の休講時期を活用した。資料は、のちの理論化を視野に入れて、(1)国家形態、(2)文化的属性とその経済的意味合い、に従って4つのカテゴリーを設けて(多民族国家期〔19世紀末から20世紀初頭〕、国民国家期:福祉国家形成以前〔大戦間期〕、国民国家期:福祉国家形成期〔第2次大戦後〕、超国家組織と国民国家の併存期〔現代〕)体系的に収集した。 第三に比較・共同研究への展開である。平成24年1月に本研究代表者は、サントリー文化財団の助成による「国際秩序変動期の「併合経験」に関する比較研究」研究会を行った。本研究会で、多文化政策や同化政策など、本研究にも活用可能なテーマについて意見交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書で示した5つの区分について、おのおの研究及び作業を進めることができた。基礎分析については、本年度はまず少数民族問題を中心に、新聞記事の収集・整理および文献の渉猟・読解を行った。この作業は夏季から始め、年度末に行った海外資料収集まで続けた。これによって現代ヨーロッパ(超国家組織)における少数民族問題へのアプローチを理解するとともに、過去の事例を照らし合わせることでその特徴を浮き彫りにできた。分析の内容を整理し、のちの成果公表につなげるために、研究内容を平成23年度後学期に担当した講義用にまとめた。また大戦間期における国家イメージの研究は従来の研究を引き継ぐものであり、2編の論文にまとめた。 次に国内での資料収集は上記の基礎的分析のために行った。分析に必要な文献は、すでに所有し利用可能なものはこれを利用して進め、その他の文献は、国内の図書館からの借用、複写依頼によって入手した。 海外での資料収集は平成24年2月26日から3月14日までオーストリア国立図書館ならびにウィーン大学図書館において行った。時間と経費を節約するために、春季の休講時期を選択した。限られた時間で調査を行う必要があったため、事前に所蔵内容をチェックしていたおかげで、効率よく収集を行うことができた。 他の研究者との意見交換については、研究代表者が主宰する他の研究会や学会・研究会出席の際にこれを行い、研究の成果と進捗状況の確認、理論化の進展に努めた。 最後に成果発表については、国家イメージについての論文は2編学内紀要に公表した。また目下、少数民族問題に関する学術論文を執筆しているところである。これを含め平成24年度内に3篇投稿予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
基礎的分析については、まず前年度に海外で収集した少数民族問題に関する資料の分析と整理を行う。またこれと並行して、外国人労働者・移民労働者の事例と対策に関する実例の検討、移民政策への理論的アプローチについて、先行研究の読み込みを行う。この分析に必要な文献は国内で入手できるものを中心に利用する。 国内での資料収集は上記の基礎的分析に必要なものについて行う。外部貸出不可などの場合には所蔵館に直接赴かねばならないが、その場合は時間と経費節約のため、長期休暇や休講時期にこれを行うこととする。 海外での資料収集は、前年度同様オーストリアで行う予定である(時期は春季)。限られた時間を有効に活用するために、事前に所蔵状態をチェックしておく。平成24年度は、主として外国人労働者・移民労働者政策に関する資料を収集することとする。 上記の作業から得られた知見を比較し、研究の成果と進捗状況を確認するため、研究会を開催し、ここで報告を行う予定である。研究会の開催頻度は年に一~二回とし、別の研究会などと共催することによって煩雑さを避け、効率化を図りたい。 前年度に得られた知見や分析結果の公表については、まず研究代表者が定期的に参加する研究会での報告を予定している。また研究成果をまとめた学術論文を紀要や学会誌に投稿し、公刊することとする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度に計上していた物品費のうち、移民関係書籍の購入についてすでに入手していた文献や貸借で幾分かを済ませることができたこと、旅費のうち海外資料調査に際して、他の用務があったため帰国分の旅費は他の予算から支出したこと、これらの理由から次年度に使用する研究費が生じた(なお収支状況報告書では、平成24年2月下旬から3月中旬にかけて行った海外資料調査に際して支出した旅費やその他の費用は、会計処理上、平成24年度の支出となる)。 物品費は移民問題関連書籍の購入のために計上している。本研究は実証性を重視するために多くの資料を活用するという特徴をもっており、そのために海外での資料収集が欠かせない。さらに現代の問題を取り扱ってもいるため、資料収集期間の短い間であっても、現地の空気を肌で感じることが必須である。これらの理由から、平成24年度も調査・研究旅費に配慮して経費を算出している。実施期間は旅費に無駄が生じることのないように、休講期間である平成25年2月下旬を予定している。また平成24年度には、研究成果の公表に配慮して経費を算出しており、学会や研究会での発表のために、調査・研究旅費とは別個に、成果公表旅費を計上している。その他として、資料収集時の複写費を、複写物・移民問題関連書籍の運搬のために通信・運搬費を、収集した資料の整理のために補助者を雇用するために謝金等、を計上している。
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Research Products
(2 results)