2011 Fiscal Year Research-status Report
自民党総裁選出過程の研究―2000年代の変化を中心に―
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23730142
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
上神 貴佳 高知大学, 教育研究部人文社会科学系, 准教授 (30376628)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 政治学 / 現代日本政治論 / 選挙・政党研究 / 自民党 / 総裁選 |
Research Abstract |
平成23年度の当初計画では、(1) 党内派閥の構成と支持状況の整理、(2) 総裁選出手続きの変容とその理由の解明、これら二点を中心に研究を進めることになっている。しかし、本研究の理論的なインプリケーションをさらに明らかにする必要があることに気付いたため、先行研究の渉猟も始めた。その影響を受け、当初計画は中途の実施に留まっている。具体的には、下記のとおりである。 (1) については、分析の対象となる『国会便覧』各号の収集を行った。絶版となっているものも多く、古書扱いとなるため、入手が完了したわけではない。(2)については、データ収集の中途である(当初計画では来年度にかけて収集することになっている)。これらの作業は、2009年の政権交代前まで、事実上の首班指名と同義であった自民党総裁選出に関する基礎的な資料であり、政治学研究にとっても重要である。 理論的なインプリケーションに関しては、新制度論の研究成果を取り入れ、分析の結果を解釈する必要がある。特に中選挙区制の時代には、総裁公選の仕組みは派閥や後援会といった党内諸制度との「相互補完性」があることが、最新の自民党研究によって指摘されている(Krauss and Pekkanen 2011)。もし党内諸制度が相互に連関しているのなら、(小選挙区制の導入により)派閥や後援会が変化すると、総裁選出過程も変化するはずである。 その一方で、広範な党員投票を伴う総裁=首相選びが「擬似首相公選制」とでも呼ぶべき執政の制度的な変容を示唆しており、議院内閣制との整合性が問われる。そこで、自民党の総裁選出過程の分析を通じて、党内諸制度との整合性、執政制度との非整合性という違いをもたらす要因を考察することを理論的な課題として再設定した。 なお、民主党代表選との対比で自民党総裁選を捉えなおす作業も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「研究実績の概要」欄に記したように、当初計画のデータ収集と同時に、理論的な位置づけを考える作業を新たに開始したため、達成度は「やや遅れる」ことになった。しかし、追加された作業は研究の理論的なインプリケーションを拡大する重要な作業であるため、やむを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度の当初計画に若干の遅れが生じているため、来年度以降の作業を効率化することで対応したい。具体的には、専門業者の活用等によるデータ入力のスピードアップを進める方針である。 新たな課題である理論的なインプリケーションの発展的な考察は、先行研究を調査することで対応したい。この作業については、24年度と25年度にわたって、継続する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「研究費の繰り越しが生じた状況」 平成23年度は24年度への研究費の繰り越しが生じた。これが生じた経緯については、「研究実績の概要」欄に記したとおりである。「平成24年度請求の研究費と合わせた使用計画」 24年度の当初計画は、(2) 総裁選出手続きの変容とその理由の解明、(3) 党員投票の構造分析、これら二つであるが、引き続き、(1) 党内派閥の構成と支持状況の整理についても作業を行う。その際、23年度から繰り越された研究費を用いる。
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Research Products
(1 results)