2011 Fiscal Year Research-status Report
基礎自治体における係争的施策領域への無作為抽出型市民参加手法の適用に関する研究
Project/Area Number |
23730145
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
長野 基 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 准教授 (50367140)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 市民参加 / 参加型政策分析 / 市民陪審 / 熟議民主主義 |
Research Abstract |
平成23年度においては、本研究の理論的背景である熟議民主主義と参加型政策分析に関する各種文献資料の精査と並行として、次の調査活動を実施した。 第1は現地事例ヒアリング調査である。「事業仕分け」へ無作為抽出型市民参加の取組みを始めた最初期の事例である岡山県岡山市や埼玉県ふじみ野市の担当者や企画実施現場を訪問し、ヒアリングを実施した。第2は支援組織ヒアリング調査である。自治基本条例策定への「市民討議会」企画を新宿区からの委託で運営を担ったNPO 法人「まちぽっと」、上記ふじみ野市への支援を担った(財)地方自治体公民連携研究財団へヒアリングを実施した。また、「市民討議会」を支援するNPO法人「市民討議会推進ネットワーク」やNPO法人「みたか市民協働ネットワーク」へのヒアリングも実施した。 第3は参与観察調査である。アクションリサーチによる研究を進めるため、無作為抽出型市民参加の取り組みを自治体計画策定と「事業仕分け」の双方の目的のために実施された東京都新宿区「第2次実行計画策定に向けた区民討議会」に準備会委員として実施企画運営を担った。そして、第4はアンケート調査である。「事業仕分け」への取り組みに初めて住基台帳からの無作為抽出による市民参加が行われた埼玉県内全市町村(行政改革担当部署)対象に、「事業仕分け」へ市民参加の実態に関してのアンケート調査を実施した。 以上の4つのアプローチを並行させることにより、政策審議に活用される無作為抽出型市民参加方式の運営への具体的なノウハウの調査が果たされたと共に、自治体の政策審議過程における政治力学的な側面を含めた影響について知見の収集を進めることが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定のヒアリング件数に比して、若干実施件数が少なくなってしまったが、平成24年度に訪問予定であった団体へ訪問するなどの工夫は行った。また、新宿区における無作為抽出による市民参加の取り組みに運営側として参画することで、参与観察の知見を深めることが出来た。さらに、当初の予定にはなかった埼玉県内市町村を対象にしたアンケート調査により、横断的な知見を得ることも出来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に従い、現地事例ヒアリング調査と支援組織ヒアリング調査を進める。ここでは市民間の討議の取り組みが市条例として具体的な成果に至っている東京都狛江市などを新たな候補とする。また、前年度に実施した埼玉県内アンケート調査の解析を進め、それを基にした個別のヒアリングも実施する。そして、これらの成果を取りまとめ、研究論文等での発信を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度においては、文献資料のための図書購入費(50千円)、ヒアリング調査のための旅費(150千円)、ヒアリングにご対応いただく専門家および市民活動団体代表者への謝金(40千円)を主な支出項目とする。これら研究経費を利用させていただくことで、理論的な知見を深めるとともに、実態の分析を深めてゆく。なお、平成23年度当初予算から執行残が691円生じ、それを平成24年度予算に繰り越す。こちらは消耗品の購入に関するもので、研究遂行上での問題から生じたものではない。
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