2012 Fiscal Year Research-status Report
政権交代と政官関係の変容―政策形成過程をめぐる比較歴史研究
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23730146
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
清水 唯一朗 慶應義塾大学, 総合政策学部, 准教授 (70361673)
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Keywords | 政治学 / 日本史 / 政官関係 / 政策形成過程 / 官僚制 / オーラル・ヒストリー |
Research Abstract |
政権交代に伴う政官関係と政策形成過程の変化を歴史的な比較軸に立って明らかにしようとする本研究のうち、2年目となる当該年度は、これまでの研究蓄積を生かしつつ、大正政変から第二次護憲運動に至る10年間を第二期と捉えて研究を進めた。 2013年1月、官僚との協働を持って作られた政党政治が分裂により再編していく状況を捉え「立憲政友会の分裂と政党支持構造の変化―一党優位制の崩壊と二大政党制の端緒―」(坂本・五百旗頭編『日本政治史の新地平』吉田書店)として発表した。そこで着目した中央土地方、学問と現実政治の距離への検討を深め、同年2月には「吉野作造と大正の公論空間―地域メディアでの口述筆記から―」(『近代日本研究』29号)を発表し、政治史のみならず、現代政治の研究者からも多くの示唆を得た。とりわけ前者はJapanese Political Developmentの取り組みのひとつとして評価を得た。 現代との比較歴史研究についても考察を進め、その一部を2012年7月に「日本政治史から見た課題」(経団連21世紀政策研究所編刊『政権交代時代の政府と政党のガバナンス』)として発表した。同論文に対しては、内外から多くのコメントを得ることができた。同論文の作成過程において、政権交代後の政策形成過程に関するヒヤリング、資料調査も進めた。 その後、特に官僚制の部分について研究、調査を進め、その成果をより広く一般に向けて問うべく、新書として刊行する作業を進めている。これまで研究論文として積み重ねてきた部分を大幅にリビジョンし、本研究を通じて得た視野から大きく切り直し、比較歴史研究の視点を入れた議論を展開することで、現在の日本政治にも通用する視角を提示することができればと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
政権交代に伴う政官関係と政策形成過程の変化を歴史的な比較軸に立って明らかにしようとする本研究のうち、2年目となる当該年度は、これまでの研究蓄積を生かしつつ、大正政変から第二次護憲運動に至る10年間を第二期と捉えて研究を進めること、前年に引きつづき政権交代後における政官関係の変化について、ヒヤリングと文書資料の収集を進めることを設定した。 前者については、比較歴史制度分析の観点から研究をすすめ、その結果、上記のとおり2本の学術論文を公表することができた。おおむね順調に進んでいると考えている。資料収集についても、東京近郊の資料館をはじめ、松山、京都、盛岡、神奈川の資料館、個人宅において貴重な資料を得ることができ、次年度への準備も進んでいる。 後者については比較制度分析の観点から研究をすすめ、その結果、上記のとおり1本の論文を公表することができた。おおむね順調に進んでいると考えている。資料収集についても、政権関係者、現役官僚、官僚OBへのヒヤリング、文書資料の公開請求による資料収集を順調に行うことができており、次年度への準備も進んでいる。以上の状況から、現在、本研究は順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は政権交代に伴う政官関係と政策形成過程の変化を歴史的な比較軸に立って明らかにしようしている。とりわけ、これまで制度改正と意識変化から説明されてきた変化を、ブラックボックスとして扱われてきた政策形成過程の変化まで深めることにより、戦前日 本における政権交代の経験知を用いて現代日本の政権交代との比較歴史制度分析を行い、戦前日本の政権交代をより実体的に捉えると共に、現代日本の政権交代に伴う諸問題に対する本質的な理解を得ることを目的としている。 前項に記載したとおり、研究は計画にそって順調に進展している。よって、当初の計画と上記の目的にそって、第3年度は第2年度の研究内容を書籍として公刊する作業を進めつつ、政党内閣期から戦後に至る20年を第3期と捉え、歴史比較分析を軸に据えた研究に重点を置いて研究を進めていきたいと考えている。 本研究の延長線上に考えていた、比較制度分析についても、すでに第2年度で一定の成果を公表することができた。この点についても、引きつづき最終年度の研究のなかでさらに取り組んでいきたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
第3年度は最終年度となる。当初の予定通り、前年度までの研究内容を書籍として公刊する作業を進めながら、政党内閣期から戦後に至る20年を第3期と捉え、歴史比較分析を軸に据えた研究に重点を置いて研究を進めていきたいと考えている。 そのため、特にこれまで収集した資料の分析に次年度は重点を置くこととなるが、適宜、補足するための資料収集を行う。そのため、出張費、文献費、複写費が中心の支出となることが見込まれている。
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Research Products
(3 results)