2013 Fiscal Year Research-status Report
東アジア国際衛生事業の展開と地域内国際協力枠組みの形成1945-1965年
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23730160
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Research Institution | Kansai Gaidai University |
Principal Investigator |
安田 佳代 関西外国語大学, 外国語学部, 講師 (70583730)
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Keywords | 国際連盟 / 世界保健機関 / グローバル・ガヴァナンス / 国際連合 / 連合国 |
Research Abstract |
本研究の最終目的は戦間期東アジアにおかえる国際保健事業の、戦後への継承と地域内国際秩序の関わりを明らかにすることである。平成23年度は戦前に国際連盟が設立したシンガポール伝染病情報局に焦点を当てて、地域の保健事業と国際関係の関わりを明らかにした。平成24年度は栄養事業に焦点を当てて、日本とアジア・太平洋諸国、ならびに国際連盟の関係を明らかにした。また、英米と国際連盟の史料に依拠して、連盟から国連への移行期における、連合国の国際保健への関与を調査した。 平成25年度は国連設立期における連合国の関与に重点を置いて研究を進めた。前年度の調査で収集した英米の史料を読み進め、英米仏中ソの連合5か国が世界保健機関設立に大きな役割を果たしたことと、その背景について分析を進めていった。研究を進めていく過程で、第二次世界大戦中の連合国の保健医療活動を担った連合国救済復興機関(UNRRA)との関連性が浮かび上がり、8月にはニューヨークの国連本部でUNRRAの史料調査を行った。以上の研究の成果を著書にまとめることができ、また、国内外の学会で研究成果を報告する機会にも度々恵まれ、今後の課題を明確にすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
史料調査で収集した史料の読解、出版作業、大学の業務で忙しかったため、当初予定していた2回の史料調査を実施することができず、結局1回の調査となった。しかし上述のとおり、昨年までの研究の上に、更に研究を進展させることができた。また、今までの研究成果を著書として刊行することができ、国内外の学会で数回にわたって研究報告を行うことで、今後の研究の方向性をより明確にすることができた。その意味で、概ね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今までの研究では、連合国のなかでも英米を中心に、WHO設立と戦後の国際秩序確立の関連性について検討してきた。その過程で、イギリスと並ぶもう一つの植民地帝国フランスがイギリスとは異なる動機で世界保健機関設立に深く関与していたことが明らかになった。この点を更に明らかにするべく、本年度はフランスの公文書館で史料調査を行い、研究をさらに進めていく。また、研究の過程で、WHOのみにならず、FAO(国連食糧農業機関)、ILO(国際労働機関)など、国連の他の専門機関設立に関しても、連合国の深い関与が明らかになった。この点を明らかにするべく、他の国際機関の史料調査も行い、研究の完成を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
史料調査で収集した史料の読解、出版作業、大学の業務で忙しかったため、当初予定していた2回の史料調査を実施することができず、結局1回の調査となった。 今までの研究では、イギリスと並ぶもう一つの植民地帝国フランスがイギリスとは異なる動機で世界保健機関設立に深く関与していたことが明らかになった。この点を更に明らかにするべく、フランスの公文書館で史料調査を行う。また、研究の過程で、WHOのみにならず、FAO(国連食糧農業機関)、ILO(国際労働機関)など、国連の他の専門機関設立に関しても、連合国の深い関与が明らかになった。この点を明らかにするべく、他の国際機関の歴史史料も調査を行う。
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