2011 Fiscal Year Research-status Report
中国における対外政策の全体的な調整・決定・執行メカニズム
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23730168
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| Research Institution | Kyushu University |
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Principal Investigator |
益尾 知佐子 九州大学, 比較社会文化研究科(研究院), 准教授 (90465386)
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| Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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| Keywords | 中国 / 対外政策決定 / タワン / 海洋 |
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| Research Abstract |
当該年度においては、中国の対外的な態度変化を、歴史的文脈を踏まえて大局的に考察することに重きをおいた。 8月の中国出張においては、改革開放初期の中国の対外政策の転換と経済政策との関連性について中国・開封で報告を行うとともに（20日、於河南大学経済学院）、北京にて最近の海洋進出に関する資料調査を行った。このときの資料調査をもとに、10月15日にはアジア政経学会で「現代中国の『穏歩』と『急進』と東アジア秩序」と題する報告を行い、他の研究者から理論面での考察が不十分、政策決定過程の具体的な解明が必要、などの鋭いご指摘をいただいた。なおこの科研費による調査ではないが、当該年度の9月から2月にかけては他のプロジェクトでアジア地域をかなり回ることができたため、並行して中国と周辺国との最近の変化について当該研究に関連する現地調査をかなり進めることができた。 中国は経済力を急激に向上させ、国際的な影響力を拡大しているが、その政治体制や地理的条件には大きな変化がない。中国の対外活動を歴史的に検討していくことが有用であるとの観点から、中国外交の歴史的な棘となってきた中印国境問題に着目し、3月にはインドが実効支配しているアルナチャール州（いわゆる中印紛争の「東段」地域）のタワン地区に入り調査を行った。外国人は入境許可が必要な地域であるため、1962年中印紛争の状況や現在の国境管理の様子など、チベット問題との関連性など、これまであまり知られていなかった中印関係の一面について有意義な成果があった。デリーではインド国防省下の研究所、IDSAで最近の日中関係について報告するなどし、中国の台頭が国際秩序にもたらしている変化やそれへの対応などについて、インドの研究者と意見交換を行った。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究者にとってサイバーテロはもはや他人事ではない。調査の推進にあたり、まずは情報管理を強化しなければならないことが認識できたため、情報端末のセキュリティーの確保などを改めて行った。
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| Strategy for Future Research Activity |
中国の外側と内側の目を、ともに踏まえながら分析を進める必要がある。 周辺国から見て、台頭する中国が特に国際秩序の変革を試みているように見える分野が海洋問題である。これについては各国からかなり文献が出てきているため、まずはこれらのレビューを早急に進める。また日本や諸外国の関連機関へも聞き取りを行い、現場の問題意識などを受け止めながら検討を行いたい。海洋問題は一種の領土問題であるため、その際には中国の過去の領土問題の取り扱い方がかなり参考になる。 海洋問題が突出してきた背景には、究極的には国内のナショナリズムが外交政策決定により大きく影響するようになってきたということでもある。中国の国内政治の分析が不可欠であるため、できるだけ中国滞在の時間を確保しながら、中国国内で対外政策決定が全体としてどのようにまとめられているのか、改めて再考していきたい。 プロジェクトの最後には、中国外交について理論的な枠組みの提示を試みたい。
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| Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
中国外交の過去の事例を参考にしながら、具体的な研究対象アクターの絞り込みを行う。現状では海洋問題（および過去の領土問題）に関する先行研究のレビューが特に遅れているため、まずはこれを進める。 長沙としては、中国国内にしばらく滞在し、有識者との意見交換を行って、最近の中国の対外政策の決定や運用に関する示唆を受けたい。また米国か東南アジアを訪問し、中国の最近の海洋進出に関連して現地調査を行う。以上を実施しながら、中国の対外政策決定に関する論文の執筆に着手する。
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Research Products
(6 results)
