2012 Fiscal Year Annual Research Report
協力維持のための制度研究:絶対的・相対的な罰則基準の比較
Project/Area Number |
23730195
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
竹内 あい 立命館大学, 経済学部, 准教授 (10453979)
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Keywords | 実験経済学 / ゲーム理論 / 社会的ジレンマ |
Research Abstract |
社会的ジレンマにおいてどのような制度を導入すれば、人々はより協力するだろうか。本研究では様々な制度の中で特に罰則制度に着目し、その中でも罰を適用する際の基準が絶対的な罰則制度(協力度合いが基準に満たない人全員が罰される)と相対的な罰則制度(基準に満たない人の中で一番協力度の低い人が罰される)を比較した。ここでは社会的ジレンマとして自発的公共財供給ゲームを用い、手法としてはゲーム理論と実験室実験を用いた。 本研究の結果は以下の通りである。まず本研究の主要な結果は、相対的な罰則制度の方が絶対的な罰則制度よりも高いか等しい協力率を導くという点である。この結果は理論モデルの分析結果と実験室実験の観察結果の双方で確認された。法を執行するにあたり、違反者を全員罰することが可能でない場合もあるだろう。本研究の結果は、そういう場合においては違反の度合いの高い人をより罰することによって、より高いComplianceを得ることが出来ることを示唆する。 次に、理論的には協力を導くのに十分に高い罰金額が設定されている場合にも実験で協力率が徐々に低下する現象が観察された点も重要である。本年度は主にこの理論からの乖離についての考察を行った。この協力率が低下していく現象は、協力した人の得られる利得が非協力をした人の利得よりも小さくなる場合に観察され、両者の利得に差がない場合は観察されなかった。また、他者の利得が直接観察できる場合と出来ない場合を比較すると、前者の方がより多く観察された。他の人の状況などが見えやすい環境においても協力を維持するには、協力を選択することが均衡であるだけではなく、逸脱した先の相対利得も重要であることをこの結果は示唆している。
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Research Products
(2 results)