2011 Fiscal Year Research-status Report
不完全な労働市場を考慮した動学一般均衡モデルによるマクロ金融政策の理論、定量分析
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23730197
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Research Institution | International University of Japan |
Principal Investigator |
LIN Ching Yang 国際大学, 国際関係学研究科, 講師 (70582287)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | サーチ及びマッチング / DSGEモデルDSEGモデル / 金融政策ルール |
Research Abstract |
労働力の不均質と労働市場摩擦のDSGE貨幣モデルを構築する。現存する理論的モデルの定量的予測と経験的証拠の間に生じる矛盾を説明する。一方、最適な金融政策はこのフレームワークのもとで分析される。金融政策について、日本及び米国の労働市場における熟練度の異なる労働者に与える影響を調べる。米国の労働市場のデータ収集と循環的特性の分析を行った。1980年~2010年に未熟練労働者の失業率の変動率は、熟練労働者のそれより3倍も高かったが、賃金変動率は未熟練労働者も熟練労働者もほぼ同じであった。経験的証拠によれば、企業は未熟練労働者を短期的な生産力補充のための緩衝とする傾向がある。一方、熟練度の異なるグループ間における労働者の賃金額決定には大きな差異はないとしている。次に理論的モデルをベースにした数的分析を行うため、日本の労働市場データに基づいモモデルパラメーターを推定。宮本先生との研究で生産力及び離脱衝撃分散を伴う時間型サーチとマッチングモデルを開発し、実証的分析のためのデータ生産プロセスとしてそれを使用した。ベイズ法を用い日本における失業と求人に関するデータのモデルパラメーターを推測した。推定結果は理論モデルの校正ターゲットとして用いられる。我々は本研究結果を専門誌に提出し現在審査中である。更に、基本的DSGEフレームワークをベースにした理論的モデルを構築した。Mortensen・Pissarides(1994)を基に、労働市場摩擦を組込み、労働者の熟練度による労働力の不均質をモデル化した。高スキルを持つ労働者は、多くの仕事のオプションがあり、企業も彼らの能力を更に高めるために特別な訓練を行う必要がある。このような特徴は、高いスキルを持つ労働者は不況でも失業する確立が低いが、好景気時はスキルにあった仕事を見つけるのが難しいことを示している。このモデルを利用し数的分析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
上記研究概要に記載のとおり、予定通り進んでいる
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、理論的モデルを基にした定量分析に焦点をあてる。それに加え、熟練度の異なる労働者間の日本の労働市場の循環的特性を分析するため、詳細な労働力調査(個々人の学歴及び仕事のタイプを含む)からデータを収集する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
現在は、現存のシステムを基にして、テストコンピュータサーバーを構築している。現存のシステムに代わる中程度の大きさのサーバーを購入する予定である。これが、次年度の主な支出である。
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Research Products
(2 results)