2012 Fiscal Year Research-status Report
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23730201
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Research Institution | Osaka University of Economics |
Principal Investigator |
川森 智彦 大阪経済大学, 経済学部, 准教授 (70550531)
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Keywords | ゲーム理論 / 提携形成 / 交渉 |
Research Abstract |
2012度は主に以下の2つのことを行った. 1.2011年度に例として計算した連立政権をめぐる交渉のモデル(連立の相手の選択をまず交渉で決め,連立政権が樹立された後に,政権内で利益の分配を決めるというモデル)について,プレイヤー数等を一般化した.一般化したモデルについて,定常部分ゲーム完全均衡を完全に求めることができた. 2.合意の履行が不完全な場合の提携交渉の極端なケースとして,提携構造が決定される際に,利益配分や政策などの合意ができない場合がある.その場合,提携構造が決定してから,利益配分や政策が決定されることになる.したがって,そうした状況の部分ゲームとして,提携構造を所与とした,利益配分や政策をめぐる交渉を考察する必要がある.これに関連して,非常に一般的なモデルを構築した.すなわち,各提携に,選択肢の集合および提携内で意思決定ができなかった場合の選択肢(交渉決裂選択肢)が与えられており,各プレイヤーの利得は各提携の選択肢の組に依存して決まるというモデルである.このモデルに対して,(ナッシュ交渉解の拡張である)ある種の協力ゲーム解を定義した.さらに,その非協力ゲームによる基礎付けを試みた.すなわち,各提携内で1人のプレイヤーが提案者となり,その提携に与えられた選択肢の内の1つと提携内での金銭的移転を提案し,その提携内のプレイヤーが提案に対する賛否を表明し,全員が賛成すれば提案通りの選択肢と金銭的移転が実行され,そうでない場合には交渉決裂選択肢が実行され,金銭的移転は行われないという交渉が繰り返される展開形ゲームを定義し,その定常部分ゲーム完全均衡によって実現する選択肢の組と金銭的移転の組が,上記のある種の協力ゲーム解と一致することを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2011年度の遅れを取り戻すためこの研究に時間をさいた.
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Strategy for Future Research Activity |
2012年度に得られた結果を論文にまとめる.さらに,研究会で報告するなどして,専門家からのコメントを得ることにする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ゲーム理論や政治学関連の書籍を購入する.専門家のコメントを得るため,専門家のもとを訪れたり,学会の動向の調査および研究結果の報告のため,各種学会に参加する(旅費を使用する).
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