2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23730201
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Research Institution | Osaka University of Economics |
Principal Investigator |
川森 智彦 大阪経済大学, 経済学部, 准教授 (70550531)
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Keywords | ゲーム理論 / 提携交渉 / 不完全な履行 / 時間選好 |
Research Abstract |
提携交渉(coalitional bargaining)の典型的な一形態である議会交渉(legislative bargaining)において,連立政権の枠組みについて交渉する際,政権内の政治的余剰の分配を決めることができず,連立政権樹立後に,分配について改めて交渉が行われるという展開形ゲームの部分ゲーム完全均衡を完全に特徴付けた.この展開形ゲームで重要となる点は,プレイヤーごとに時間選好(忍耐強さ)が異なりうるという点である.部分ゲーム完全均衡の特徴付けから次のことが分かる.(i)どの部分ゲーム完全均衡でも,忍耐強くない過半数のプレイヤーによって連立政権が形成される.(ii)忍耐強くない過半数に含まれない(忍耐強い)プレイヤーが,連立交渉の提案者になった場合,その均衡における提案は,均衡において拒否され,合意の遅れ(delay)が生じる.このことは,連立交渉時に分配について話し合うことができないことが,完全情報ゲームにおける合意の遅れの1つの源泉になりうることを示したという意義がある.(iii)忍耐強いプレイヤーは,たとえ提案者という強い立場にあっても,連立政権内に入ることができない.これらのことを1つの論文にまとめているところである. また,交渉ゲームに関連する研究として,非対称ナッシュ交渉解(asymmetric Nash bargaining solution)を非協力ゲームで基礎付ける論文が,Journal of Mathematical Economics誌に受理された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画で予想していた結果を証明することができ,論文にまとめる作業に入っている.
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Strategy for Future Research Activity |
論文を早急に完成させ,査読誌に投稿する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
関連書籍の収集がやや滞ってしまった. 関連書籍の収集に努める.
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Research Products
(1 results)