2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23730202
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Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
尾崎 祐介 大阪産業大学, 経済学部, 准教授 (80511302)
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Keywords | 高次リスク回避度 / 期待効用 / 曖昧性回避 / 多属性効用 |
Research Abstract |
昨年度は主として以下の研究を行った。①局所的なリスク回避度の特徴付け、そして、それを使って均衡利子率と高次リスク・高次リスク回避度の関係性を特徴付けた。この論文を学術誌に投稿したが、残念ながら、不採択になってしまった。この論文を改訂し、来年度の早い段階で適当な学術誌に再投稿することを予定している。②高次リスク回避・高次リスク回避度の最近の研究動向をまとめた論文を作成し、大阪産業大学経済学部の紀要に投稿した。紀要の刊行が遅れているが、来年度には刊行する予定になっている。この論文では期待効用の範囲に絞って議論を行っているが、最近では、非期待効用の議論も進展している。この流れを引き続き注視する。 研究課題に関連した研究として以下を行った。期待効用を一般化した滑らかな曖昧性モデルを用いた分析を行った。具体的には、曖昧性が予備的貯蓄に与える影響、また、経済主体が制御できないバックグラウンドリスクに曖昧性を導入した場合、それが与える影響の分析を行った。 今年度は、採択を含めて、二編の論文を国際学術誌に刊行することができた。また、二編の論文を大阪産業大学の紀要に掲載することになった。(本来であれば、今年度中に刊行する予定であったが、編集作業が停滞しているため、来年度の刊行になった。)また、国際会議で一回、国内学会で二回の研究報告を行った。(それに加えて、共著者の研究報告もある。)また、アウトリーチ活動の一環として、大阪産業大学が大東市民を対象に行う講演会でも報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題で目標としていた Eeckhoudt and Schlesinger (2006,AER) の枠組みを用いた高次リスク回避度の特徴付け、そして、それの経済学的な応用を行った。その意味で本研究課題は順調に進展していると言える。しかし、研究成果は学術誌への刊行を必要としており、それを達成していない現状は、研究達成度として十分と言えない。分析を終えてから、論文としてまとめるのに時間の掛かったこと、そして、不採択後の改訂に時間の掛かったことが原因である。その背景には二つがある。一つ目は高次リスク回避度の研究に大きな進展があり、日々、新たに報告される(未公刊も含めた)論文を確認するのに時間が掛かったからである。二つ目は入試業務の割り当てなどで研究時間が十分に確保できなかったからである。これらの背景は多くの研究者に共通することであり、今後は、これらにしっかりと対応できるように工夫したい。 本研究課題と関連して、非期待効用の枠組みを用いた研究には大きな進展があった。この意味では、本研究課題は当初の計画よりも進展していると言える。最近の流れとして、高次リスク回避度と非期待効用を合わせた分析も進められており、このような研究にも取り組みたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題に関連して今年度は二つのことを念頭に置いている。一つ目は高次リスク回避度の論文を国際学術誌に刊行することである。来年度の早い段階で投稿する予定である。学術誌の審査は運・不運もあることから、掲載されるかについては確定的なことは言えないが、仮に不採択になった場合でも、改訂などの作業を素早く行うようにしたい。二つ目は非期待効用への応用である。Baillon (2013,WP) は Eeckhoudt and Schlesinger (2006,AER) の枠組みを曖昧性に拡張した。特に、実験を意識した違った枠組みでの定式化、また、情報の価値など異なる応用の検討を行いたいと考えている。 本研究課題と関連して非期待効用の分析も引き続き取り組みたいと考えている。具体的には、後悔などを捉える多属性効用を使った様々な分析、曖昧性を捉える滑らかな曖昧性モデルを使った様々な分析がそれらに含まれる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
未使用額が発生した理由は以下の二つである。 ・入試業務の委員会活動を任せられたため、参加を予定したいくつかの国際会議・国内会議に参加できなかったこと。 ・応用部分の研究の進展が遅れたため、それに伴って必要となるパソコン関係の支出がなくなったこと。 使用計画は未使用が発生した理由に対応する。つまり。 ・研究成果の報告を行うため、国内外で開催される研究集会へ参加する予定である。その出張経費として研究費を使用する。 ・研究の進展に必要なパソコン本体を含むパソコン関連の備品の支出に割り当てる予定である。
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Research Products
(5 results)