2013 Fiscal Year Annual Research Report
労働証券論の史的展開:労働評価の格差是正、協同性の回復、国際的波及過程
Project/Area Number |
23730204
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
結城 剛志 埼玉大学, 経済学部, 准教授 (40552823)
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Keywords | 労働証券 / 貨幣・信用制度改革論史 / 地域通貨 / ユートピア社会主義 / リカードウ派社会主義 / 労働貨幣 / アナーキズム / 人民銀行 |
Research Abstract |
当該年度の研究は「実施状況報告書」(平成24年度)の「今後の研究の推進方策等」に則って進められた。同報告書には、学術単著『労働証券論の歴史的位相』(2013)の「成果を踏まえ、単著においてそぎ落としたいくつかの論点を回収しながら、研究計画調書に掲げられている研究目的を発展させるための研究に引き続き取り組む。それらに加えて、拙著[2013]に収録されている研究成果の一部を英文論文として独立させ、英文ジャーナルに投稿する」とある。以上を踏まえ提出された研究実績は以下の通りである。 ①論文「信用貨幣論と表券貨幣論に関する断章」『社会科学論集』(埼玉大学)、139号、2013年。本論文では、結城[2013]において十分展開されなかった労働証券論の他面である貨幣論的側面を探求し、信用貨幣論と表券貨幣論との関連性のもとで試論的に論じた。②研究会発表「『労働証券論の歴史的位相』をめぐって:市場社会主義論の系譜」『マルクス理論研究会』(開催地:専修大学、2013年6月29日)、「異端の貨幣・信用制度改革論史:労働証券と地域通貨」『経済思想史研究会』(開催地:東北大学、2013年8月8日)。これらの研究会発表では、労働証券論研究の持つ意味と今後の研究の広がりについて論じた。労働証券論は本研究課題が示すように「労働評価の格差是正、協同性の回復」を志向するだけでなく、広い意味での証券論と呼びうる貨幣・信用論的な拡がりをも内包していることが「国際的波及過程」の分析によって示された。③当該年度中の成果発表には至らなかったものの、英文査読誌への投稿、国際学会発表への申し込みを行った。
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