2012 Fiscal Year Research-status Report
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23730210
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
野田 英雄 山形大学, 人文学部, 准教授 (90347724)
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Keywords | ベイズ法 / 平滑化事前分布 / 技術進歩 / TFP / 生産関数 / 経済成長 / 景気変動 / 構造変化 |
Research Abstract |
Hayashi and Prescott (2002)[ Hayashi, F. and E. C. Prescott (2002), The 1990s in Japan: A Lost Decade, Review of Economic Dynamics, vol. 5(1), pp. 206-235.] による日本経済の「失われた10年」の研究を契機として,近年,日本経済における全要素生産性 (total factor productivity, TFP) の分析が多くのマクロ経済学研究者の関心を集めている.最もよく利用されるTFP分析の方法は,Solow 残差を求める成長会計や生産関数に基づく計量経済モデルの推定である. ただし,これらのアプローチについては以下の点に注意が必要である.まず,成長会計では生産要素価格と限界生産性の一致性が仮定されているが,この前提が実際に満たされる保証はない.また,従来の生産関数アプローチでは,パラメータ推定を容易にするためTFPの成長率を一定と仮定する場合が多い.これはTFPの指数的な増大を意味する.しかし,こうした仮定はTFPのトレンドに対して非常に強い制約を課すことになる. 本研究では,従来の生産関数アプローチにおける困難の解決策を提示する.本研究の主要なアイディアは, Cobb-Douglas生産関数のTFPを確率変数とみなして平滑化事前分布を導入し,それによって TFPの振る舞いを高い精度で捉えるという点である.平成24年度は,日本と台湾のデータを利用して提案法の有効性を実証した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の提案法の有効性を実証した論文2編が下記の国際学術誌に掲載されることが決定した. (1) Kyo, K. and H. Noda, “Role of Total Factor Productivity in Economic Growth in Taiwan,”forthcoming in ICIC Express Letters, Part B: Applications, An International Journal of Research and Surveys. (2)Kyo, K. and H. Noda, “Analysis of Factor Elasticity and Total Factor Productivity in Prefectural Economies in Japan,”forthcoming in International Journal of Innovation, Management and Technology. また,提案法の応用可能性についても検討を進めているところであり,分野横断的な研究の展開が期待される.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては,モデリングや推定方法の一層の改良を追求するとともに,実際のデータを用いた実証分析の知見を蓄積し,経済政策上の制度設計に対しても有益な示唆を提示していきたい. 平成25年度は,本研究計画の最終年度ということもあり,これまで未発表の研究成果を国際ジャーナル上に可能な限り多く公表するようにしたい.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の研究費については,国際会議・国内学会参加のための旅費,学術図書の購入,論文投稿に際しての英文校正等に使用する予定である.
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Research Products
(5 results)