2012 Fiscal Year Research-status Report
国民健康保険財政における保険料(税)および補助金の決定メカニズムに関する実証分析
Project/Area Number |
23730217
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
川村 顕 早稲田大学, 政治経済学術院, その他 (10422198)
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Keywords | 市町村国民健康保険 / 介護保険 / モラルハザード / 保険料(税) |
Research Abstract |
本研究では、財政的な困難を抱える市町村国民健康保険(以下、国保)について、その保険者である市町村に着目し、国保財政の基盤を成す保険料(税)と国庫等からの補助金の決定メカニズムを実証的に明らかにする。具体的には、①補助金が国保運営にモラルハザードを引き起こすインセンティブを与えるか、②国保保険者の保険料(税)決定に際し、隣接市町村との横並び行動をとるか、および、③保険料(税)決定に際し、首長や地方議会の構成といった政治的要因がどの程度影響するか、の3点を分析する。本研究により、これまでの国保財政の経済分析で考慮されていなかった、補助金および保険料(税)の非効率性の新たな要因を提示することが可能となる。 平成24年度は前年度に引き続き、国保と介護保険とのモラルハザードに関する実証分析を行い、日本財政学会にて報告を行った。その際に討論者及びフロアから頂いたコメントを精査し、さらに分析を改善した。 また、前記の分析と並行して、市町村議会の選挙結果データを国保財務データと突合し、予備的分析を行った。これについては現在も分析を続行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定は以下のとおりである。まず平成23年度に、国庫等補助金によるモラルハザードの実証分析(研究テーマ1)を行う。平成24年度は、国保保険料(税)の決定に関する隣接市町村の横並び意識に関する実証分析(研究テーマ2)を行う。平成25年度は、国保保険料(税)決定に関する政治的要因(研究テーマ3)を分析する。首長や議会の政治的背景を数量化し、保険料(税)との因果関係を推定する。 現在までの進捗として、研究テーマ1については1年目におおよそ進めることができ、今年度の学会発表におけるコメントをもとに、より精緻な分析を現在進めている。これについてはおおよそ予定通りの進捗であるといえる。研究テーマ2および3については、取り組む順序を逆にしている。これは、テーマ2の関連文献収集により多くの時間を割く必要があると判断したこと、および、地方自治体の首長および議会の議席数データが早い段階で分析可能な形になったため、テーマ3を優先できる状況となったことによる。つまり、分析順序は変わったものの、全体としての進捗に大きな影響はないと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定としては、平成25年度に研究テーマ3を行う予定であったが、上述の理由から順序を変更した。したがって、平成25年度は研究テーマ2を行うものとする。現在、研究テーマ1についてはおおよそ分析は終了、研究テーマ3については統計分析および解釈について取り組んでいるところである。したがって、研究テーマ2を本格的に行いつつ、研究テーマ1について平成25年度上半期のうちに雑誌に投稿可能な状態にすること、および、研究テーマ3について分析をおおよそ終了させる。下半期はそれらの成果をまとめるものとする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度の研究費は、資料整理等のための人件費、学会等参加のための旅費、および、英文校正等に費やされる予定である。また、予算の許す限り、関連書籍等の収集を行う。
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Research Products
(1 results)