2011 Fiscal Year Research-status Report
経済時系列のボラティリティと内生性が共和分分析に与える影響
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23730220
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
牧 大樹 龍谷大学, 経済学部, 准教授 (60423737)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ボラティリティ / 内生性 / 共和分 |
Research Abstract |
本年度の研究では、不均一分散が共和分検定に与える影響を検証した。共和分検定で用いられる経済変数のボラティリティは、不均一であることが多い。例えば、為替レートや金利、株価のボラティリティは、GARCH(generalized autoregressive conditional heteroskedasticity)や構造変化、長期記憶などで特徴づけられる。また、そのような経済変数のボラティリティは、相互依存していることも指摘されている。すなわち、共和分分析をする場合に、内生性の問題が起こる。このような状況下では、共和分分析に様々な影響を与える可能性がある。具体的には、誤った共和分関係の検出などが考えられる。特に、非線形性を考慮する共和分検定だと、GARCHタイプのボラティリティを持つ共和分なしの変数に対して、不均一分散の性質と非線形の共和分を混同し、誤った共和分関係を検出する可能性がある。 モンテ・カルロシミュレーション分析を行ったところ、閾値自己回帰(threshold autoregressive)や構造変化を考慮した共和分検定は、GARCHや分散の構造変化の存在下で、共和分なしの帰無仮説を過剰に棄却することが明らかとなった。特に、多変量GARCHや2変量の分散の構造変化は、閾値自己回帰や構造変化を考慮する共和分検定に深刻なサイズの歪みを引き起こすことが示された。一方で、分散比を用いた共和分検定は、不均一分散のほとんどの場合において、帰無仮説を過剰棄却しないことが明らかとなった。これらの分析から様々なタイプのボラティリティや内生性が存在するときに共和分検定を行うには、どのような統計的手法が適切かを示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の目的である『経済時系列のボラティリティと内生性が共和分分析にどのような影響を与えるかを検証すること』について、シミュレーション分析を行い、不均一分散が共和分検定に与える影響を明らかにできたため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、経済時系列のボラティリティと内生性が共和分分析に与える影響を緩和するためにはどのようにすべきかを中心に研究を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
データベース資料や計量経済学関連書籍、ノートパソコンを購入するとともに、研究課題に関連する研究会や学会に旅費を使用して参加する。
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