2012 Fiscal Year Research-status Report
自然資源の市場モデルの精緻化と過少利用問題の理論・実証的解明
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23730222
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
河田 幸視 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教 (60449022)
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Keywords | 過少利用 / ジビエ / ラトビア |
Research Abstract |
(1)有蹄類の過少利用によって引き起こされる問題の1つに、自然景観の改変がある。ニホンジカによる下草の採食は、地域の稀少な植物の減少を招くことがある。京都府綾部市において、稀少植生の採食防止を図るために、安価かつ簡易に実施できる方法として、PPテープを用いた囲いの効果を検証した。PPテープで囲んだ内部とその周辺とでバイオマスの相違を比較し、この方法の有効性を確認した。 (2)有蹄類の過少利用を緩和する方法の1つとして、捕食者の再導入が世界的に議論されている。エゾシカによる多様な被害が問題となっている北海道を事例として、エゾオオカミを再導入することに対する環境評価をおこなった。現在の状況はエゾオオカミ不在のためゼロリスクであるが、再導入後はリスクが発生する。1人/10億人の死亡リスク回避のための支払意志額は294円~869円と推定された。また、オオカミ再導入政策とハンター維持政策を比較すると、後者が支持された。 (3)ラトビア国における野生動物管理では、毎年個体数の推定と捕獲量の設定がおこなわれる。狩猟獣が多種におよぶため、主要な有蹄類(イノシシ、ノロジカ、アカシカ、ヘラジカ)や主要な大型肉食獣(オオカミ、オオヤマネコ)以外の種は、簡易な方法で個体群動態を比較し、優先度をつけて管理をおこなうことが望ましい。種によって、個体の大きさや、個体群の大きさに相違があるため、こうした単位の違いに依存しない指標を作成した。さらに、実際のデータ(1922~2009)に当てはめて分析したところ、1991年のラトビア国の独立や2004年のEUへの加盟といった重要な変化に基づいた野生動物管理の変化に伴なう個体群の保全状況の変化を、この指標によって的確に表すことができることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画では、24年度は、日本およびラトビア国の野生動物管理およびその利用についての情報収集をおこなう予定であった。いずれも、文献渉猟等によって必要最小限の情報は入手しており、また、成果の一部は学術誌に公表している。このため、おおむね当初の予定通りと判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に基づき遂行予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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