2012 Fiscal Year Annual Research Report
持続可能な都市政策:コンパクトシティの定量的総合評価
Project/Area Number |
23730223
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Research Institution | Takasaki City University of Economics |
Principal Investigator |
岩田 和之 高崎経済大学, 地域政策学部, 講師 (90590042)
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Keywords | 都市環境 / コンパクトシティ / 都市計画 |
Research Abstract |
コンパクトシティの効果を定量的に把握するための、昨年度作成した日本全国約1700自治体に関する都市情報データベースを用いて定量分析を実施した。また、分析モデルについては岩田・馬奈木(2011)を拡張したものを作成している。本研究では①どのような都市計画を変更すれば都市のコンパクト化が成されるのか、②都市のコンパクト化が都市内部の交通起因温室効果ガス低減および他の社会厚生改善に寄与するのか、という2点について実証的な見地から分析を試みた。①で扱う都市計画変数としては、市街化区域設定、市街化調整区域設定、固定資産税、都市計画税の4つの都市計画に関する政策を取り上げた。②コンパクト化の評価項目については、自動車からの温室効果ガス、交通事故件数、清掃費用、犯罪件数、自治体財務力の5項目を取り上げた。分析に先立ち、都市のコンパクト化につながる都市計画変数と都市内部の温室効果ガス排出量との関係を経済学的に論じる必要がある。そのため、この点に関する経済理論について岩田・馬奈木(2012)にて公表を行った。分析の結果、市街化区域設定、市街化調整区域設定、固定資産税、都市計画税いずれの都市計画政策についても、その都市の人口密度(都市のコンパクト指標)に影響を与えることが確認された。また、人口密度が高い都市ほど、温室効果ガス、清掃費用が少なくなることが示された。一方で、コンパクトな都市ほど交通事故や犯罪が増加し、それに対応する支出増による財政悪化が確認された。 岩田和之・馬奈木俊介(2011)「コンパクトシティは環境改善に繋がるか?:全国市区町村データを用いた実証分析」、環境科学会誌、Vol.24(4)、pp.390-396. 岩田和之・馬奈木俊介(2012)「都市計画:社会システムの変更による環境配慮型都市への移行」、『環境・資源経済学入門』第13章、馬奈木俊介(編)、昭和堂.
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Research Products
(1 results)