2013 Fiscal Year Annual Research Report
国際寡占市場における水平的企業間合併に関する経済理論的分析
Project/Area Number |
23730226
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
中村 靖彦 日本大学, 経済学部, 助教 (90453977)
|
Keywords | 水平的企業間合併 / 国際寡占市場 / 理論経済学 / 応用経済学 / 経済政策 |
Research Abstract |
本研究は当初2012年度で終了の予定であったが,完成し投稿していた論文の査読が遅延したなどのため,繰り越しを志願し延長が認められたため,2013年度も研究を継続したものである.したがって,2013年度の残額はきわめて少なかったために,2012年度の後半より取り組み始めた「私的寡占および混合寡占市場における企業の資本量の戦略的決定」に関する研究の完成に特化した.企業の資本量の戦略的決定は,経済理論の観点から企業間合併を分析するために非常に重要である.特に,合併後の企業が合併前の各企業の資本をどのように利用できるか,さらには,適切な利用の仕方によって生産効率性が上昇が見込めるかどうかに関しては,理論・実証の研究者の間でも結論が出ていない.寡占市場に存在する企業の戦略的な資本量の決定は,企業がどのような水準の資本量を有するかに関して長期的な視野で意思決定を行うモデルを基にして考察される.したがって,企業間合併の分析における合併企業が,合併前に有していた資本量をどのように使用するかに関する基礎を与える分析であるといえる.具体的に我々は,私的寡占市場や混合寡占市場に存在する私企業が相対的な利潤を最大化する状況における資本量の意思決定を考察した.「相対的な利潤の最大化」とは,自社の利潤だけでなく,競争相手企業の利潤をも考慮して最適化を行う状況である.企業間合併に臨む企業は長期的な視野を有しており,そのような態度を有していると考えられるため,企業間合併の分析にとりわけ密接に関わっていると言える.本研究課題では,混合寡占企業における公企業と私企業の資本量の意思決定に関する分析を上述の「相対的な利潤の最大化」を考慮して,数量競争および価格競争の両方の観点から考察した.どちらの競争においても,私企業の資本量の水準は,どの程度公企業の利潤を考慮するかを表すパラメータに決定的に依存することが示された.
|