2012 Fiscal Year Research-status Report
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23730232
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
蔡 大鵬 名古屋大学, 高等研究院, 特任准教授 (20402381)
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Keywords | 環境保全 / 環境政策 / 横断条件 / 無限期間動的計画問題 / 開放経済 / 国際的協調枠組み / 地球環境資源 / 枯渇性資源 |
Research Abstract |
本研究の目的は、「割引かない無限期間動的計画問題の最適解の構築」(Cai and Nitta 2009, 2011)の理論を、地球環境資源の最適利用問題に応用し、将来の世代へと良好な自然環境を引き継ぐ環境保全義務を達成できる経済政策および国際的協調枠組みのあるべき姿を提示することである。 平成24年度において、これまでの研究成果をさらに掘り下げ、一般性を持つ割引かない無限期間動的計画問題の最適解を構築するアプローチの確立、および横断条件を含む最適解の諸性質の解明を目指して、研究を進めてきた。その成果を、数編の論文にまとめており、現在投稿準備中である。 一方、交渉ゲームの分析手法を取り入れ、「開放経済における地球環境資源の利用における国際的協調枠組みのあり方」を取り扱う理論モデルの構築も本課題の目的の一つである。平成24年度には、外国企業、国内企業と政府の間における、関税の決定における政治プロセスを明示的に分析した論文"Protection vs. Free Trade: Lobbying Competition between Domestic and Foreign Firms (with LI Jie)" を国際学術誌に投稿した。現在、投稿した学術誌の要請により、再投稿に向けて準備を進めている。この論文で用いたアプローチを、国際的協調枠組みが地球環境資源の利用・保全に及ぼす影響の解明に応用する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初では、平成24年度において、研究の精度を向上させつつ、以下の研究を進めることを計画していた。 1. 改良した「割引かない無限期間動的計画問題の最適解を構築するアプローチ」を地球環境資源の最適利用問題に応用し、《世代間衡平性》の公理と《パレート効率性》を同時に満足する最適経路を提示する。平成24年度では、この課題に関する研究成果を2編の論文としてまとめてきたが、今後、順次に投稿する予定である。 2. Okumura and Cai (2007, 2010)等の開放経済における環境資源の最適利用に関する研究成果のベースに、地球環境問題における不確実性に着目しながら、上記の研究成果をさらに不確実性を含む形に拡張する。将来世代に対する「環境保全義務」の達成を前提とした「不確実性を考慮した開放経済における地球環境資源の最適利用問題」を取り扱う理論モデルを構築・分析し、経済の開放に伴うインプリケーションについて理解する。平成24年度では、この課題について、研究を進め、現在、研究成果を論文にまとめる作業を進めている最中である。 また、次年度以降は、以上の研究成果に基づき、地球環境問題の解決に必要とされる国際的取り組みついて検討する。その際、コモン・エージェンシー・ゲームやバーゲンニング・ゲーム等の交渉ゲームを適用する。2国モデルを想定した、「開放経済における地球環境資源の利用における国際的協調枠組みのあり方」を取り扱う理論モデルを構築し、政策枠組みの内生的決定プロセスを解明する。これらについて、現在、最新の文献を検討するとともに、予備的な研究を進めている最中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後では、最新の文献を検討するとともに、研究の精度を向上させつつ、以下の研究を進める。得られた成果は、論文にまとめ、国内外の学会・研究会で報告するとともに、環境経済や理論経済の国際学術雑誌に投稿する。 1. 改良した「割引かない無限期間動的計画問題の最適解を構築するアプローチ」を地球環境資源の最適利用問題に応用し、《世代間衡平性》の公理と《パレート効率性》を同時に満足する最適経路を提示する。また、Chichilnisky 基準(Chichilnisky, 1996)との結論と比較し、世代間衡平性が持つ本質的なインプリケーションを理解する。 2. Okumura and Cai (2007, 2010)等の開放経済における環境資源の最適利用に関する研究成果のベースに、地球環境問題における不確実性に着目しながら、上記の研究成果をさらに不確実性を含む形に拡張する。将来世代に対する「環境保全義務」の達成を前提とした「不確実性を考慮した開放経済における地球環境資源の最適利用問題」を取り扱う理論モデルを構築・分析し、経済の開放に伴うインプリケーションについて理解する。とりわけ、Hartwickルールとの関係を明らかにする予定である。 3. 以上の研究成果に基づき、地球環境問題の解決に必要とされる国際的取り組みついて検討する。その際、コモン・エージェンシー・ゲームやバーゲンニング・ゲーム等の交渉ゲームを適用する。2国モデルを想定した、「開放経済における地球環境資源の利用における国際的協調枠組みのあり方」を取り扱う理論モデルを構築し、政策枠組みの内生的決定プロセスを解明する。 4. 本研究の総括作業として、上記で得られるであろう理論的成果をもとに、地球環境資源の最適利用のあるべき姿および必要な国際的協調枠組みのあるべき姿について政策提言を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度では、下記の項目において、研究費を使用する予定である。 ① 海内外の各種学会・研究会での報告に関する旅費。 ② 研究者の招へいに関わる謝金および諸費用。具体的には、共同研究者を2週間程度で招へいし、本研究課題に関連する共同研究の打ち合わせを行う予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Presentation] Lobbying on Entry2012
Organizer
EBES (Euroasia Business and Economics Society) 2012 Warsaw Conference
Place of Presentation
Marriot Hotel, Warsaw, Poland
Year and Date
20121100
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