2011 Fiscal Year Research-status Report
親からの遺産・生前贈与と子による介護に関するミクロ計量実証研究
Project/Area Number |
23730236
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
花岡 智恵 大阪大学, 社会経済研究所, 特任助教 (30536032)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 遺産動機 / 高齢者介護 / 生前贈与 |
Research Abstract |
子から親への介護が世代間所得移転に与える影響は遺産と生前贈与で異なるかどうかについての実証研究を行った。●データ:日本大学「健康と生活に関する調査」の個票パネルデータを使用した。調査回答者本人から調査回答者の生存する全ての子に関する経済的援助の有無(生前贈与)と、調査回答者本人の遺産分配方法の意向(親の介護をしてくれた子供に家の財産をより多く残すか否か)が尋ねられている。また、調査回答者は介護が必要かどうか、さらに、調査回答者が介護が必要な場合、誰が主たる介護者であるかが尋ねられている。●モデル:上記データを使用して、(1)子から親への介護が、親から子への経済的援助の有無(生前贈与)に影響を与えているかどうか、(2)子から親への介護が、親が遺産を子の間で分配する意向に影響を与えているかどうか、を推定することが可能となる。具体的にはNorton and Van Houtven (2006)の定式化に従い、被説明変数が親の遺産分配方法の意向、または、親から子への生前贈与の有無(いずれも二値変数)、主要な説明変数が子からの介護提供の有無とするモデルを推定する。実際の分析では、父親、母親のサブサンプルにわけて推定を行っている。●検討事項:以下の内容について、検討をおこなっている。(1)親が子からの介護サービスの提供を受けている場合、介護を提供している子に生前贈与や遺産がより多く分配される傾向にあるかどうかの検討。(2)親子の住まい方(同居,近居,別居)によって、子からの介護提供と遺産・生前贈与との関連に差異が生じるかの検討。(3)親の特性によって、子からの介護提供と遺産・生前贈与との関連に差異が生じるかの検討。(4)子供の特性により、子からの介護提供と遺産・生前贈与との関連に差異が生じるかの検討。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
子から親への介護が世代間所得移転に与える影響は遺産と生前贈与で異なるかどうかを検討するのが、本年度の研究計画であり、研究計画とおり、おおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は親からの遺産が子の就業に与える影響についての実証研究を行う予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額は異なったが、研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初予定通りの計画を進めていく。
|