2013 Fiscal Year Annual Research Report
親からの遺産・生前贈与と子による介護に関するミクロ計量実証研究
Project/Area Number |
23730236
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
花岡 智恵 京都産業大学, 経済学部, 助教 (30536032)
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Keywords | 世代間所得移転 |
Research Abstract |
本研究の目的は、遺産・生前贈与動機と、子から親への介護との関連について実証的に検討することである。具体的には、 1.子から親への介護が世代間所得移転に与える影響は遺産と生前贈与で異なるかどうか 2.親からの遺産が子の就業に与える影響 を明らかにする。 1の研究課題については、(1)子から親への介護が、親から子への経済的援助の有無(生前贈与)に影響を与えているかどうか、(2)子から親への介護が、親が遺産を子の間で分配する意向に影響を与えているかどうか、を検討した。日本の65歳以上の高齢者を対象とした全国規模の個票データを用いて分析を行った。結果、(1)について、子から親への介護が、親から子への経済的援助の有無に与える影響は認められなかった。ただし、親が遺産となる資産を保有している場合、子から親への介護提供に有意な影響を与えることが示された。さらに、これらの影響は子の婚姻状況により異なることが示された。(2) について、子から親への介護が、親が遺産を子の間で分配する意向に影響を与えていることが示された。ただし、10%水準で有意な結果であり(p = 0.08)、有意性が低い結果であった。これらの研究結果の一部は学術雑誌にて公表されている。 2の研究課題については、将来的に遺産が受取れるかどうかの期待、および、遺産を実際に受け取ったかどうかが尋ねられた日本の成人を対象とした個票データを使用した。このデータを使用して、親からの遺産が、子の就業有無、もしくは、就業形態に影響を与えているかどうかを検討した。結果、親からの期待される遺産額が大きいほど、子の就業確率にマイナスの影響を与えていることが示された。この分析結果については、学術雑誌への投稿準備中である。
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