2012 Fiscal Year Research-status Report
企業が取り組む地域福祉支援の総合的インセンティブ設計
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23730238
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Research Institution | Dokkyo University |
Principal Investigator |
大床 太郎 獨協大学, 経済学部, 講師 (40584579)
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Keywords | 子育て支援 / Best Worst Scaling / Employee's View |
Research Abstract |
本年度は主に,1) アンケート本調査のための情報整理と収集,2) アンケート本調査の実施,3) 次年度の分析のための準備を行った. まず,前年度(初年度)に実施した事前情報収集調査である,「仕事と子育てに関するアンケート」を整理し,一般財団法人アジア太平洋研究所の林万平氏,大阪市立大学の桜井靖久氏と内容を検討した.その結果,企業が行う子育て支援として従業員向けに集中すべきこと,従業員向け子育て支援としては「親に対する現物給付」と「子どもに対する現物給付」がキーワードになること等が明らかとなった. 次に,本調査「職場と子育て支援に関するアンケート」を実施した.対象者は「仕事と子育てに関するアンケート」と同様の神戸市周辺地域を中心として,同じインターネットリサーチパネルからサンプリングした,雇用されている有業者とした.アンケートの中には,1) 厚生労働省「くるみん」に関連した「両立支援のひろば」ウェブサイト(http://www.ryouritsu.jp/index.html)に記載されている子育て支援の有無,親に対する現物給付である各種勤務時間制度と各種休暇制度のランキングを実験的に調べる選択モデリングの一種,Best Worst Scalingのほか,雇用されている人々の心理態度に迫る項目としてUS Federal Employee Viewpoint Surveyを参考にしたものを回答者に提示した.同調査は2月末に終了しており,現在鋭意整理分析中である. 最後に,環境経済政策学会を中心として選択モデリング分析手法に関する情報収集を行ったところ,通常のアプリケーション・パッケージでは分析が困難なものが,国外専門誌では必須であることが明らかとなった.そこで,Gauss関連のアプリケーションソフトウェアを本年度・次年度に追加購入することとした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は,「企業が取り組む」子育て支援として,雇用されている人々に対する子育て支援に集中して情報整理・調査を遂行した. まず,前年度に得られた修正・追加すべき点に留意して,本調査アンケート「職場と子育て支援に関するアンケート」を実施した.すなわち,1) 健康経済学等の異分野の文献から得られたBest Worst Scalingの有用性を意識し,勤務時間制度・休暇制度に係る選択モデリングを実施したこと,2) 有職者に限定したアンケートの実施,3) 厚生労働省の「くるみん」に係る情報を反映した項目の追加,に留意した.これらの点は,前年度の反省が活かされた点である. そのほか,US Federal Employee Viewpoint Surveyの知見の積み増し・有識者から収集した情報等,申請当時では見えてこなかった部分を追加することができた. 以上に鑑みるに,おおよそ申請当時の研究計画を円滑に遂行できた.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は,前年度に挙げた推進方策で残っている部分の遂行と,最終報告書のとりまとめを行う. 前年度に挙げた推進方策のうち,1) 追加収集資料の整理,2) 厚生労働省「くるみん」の精査,3) 有職者向けウェブアンケートの実施までは今年度に行うことができた.3) のうちの分析と,4) 有職者アンケートの分析結果を学会やジャーナル投稿などを通して情報発信するほか,5) 企業ヒアリングの可能性を探る点が,平成25年度に残された課題である. 企業に求める子育て支援とは何か,どの程度,どのようなサービスを求めているのか,あるいは不要であると感じているものは何かを明らかにし,市民・企業あるいは行政に対して,企業が取り組むべき子育て支援に係る情報提供を視野に入れつつ,平成25年度は最終報告書をとりまとめる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に交付申請している金額は50万円である.また,前年度のインターネットアンケートが比較的に安価であったため,8万円弱の繰越金額が生じた.これらを,以下のような内訳で利用する. まず,選択モデリングの一種であるBest Worst Scalingを詳細に分析するため,個人所蔵のGaussのうえにかぶせるGauss Application Bundleの,Complete Gauss Apps Collectionを購入する.金額は,インフォーマティック株式会社(http://www.informatiq.co.jp/Gauss/GAUSS99Bundle.html)の価格より20万円である.また,英文ショートペーパー・フルペーパー2種類のネイティブチェック費として,15万円を充当する.そのほか,打合せ国内旅費・謝金,データバックアップのメディア等消耗品に残り23万円弱を充当する.
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