2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23730244
|
Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
倉田 洋 東北学院大学, 経済学部, 准教授 (60411245)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | サービス産業 / 企業立地 / 費用格差 / 規模の経済 / グローバル化 / 地域内競争 |
Research Abstract |
1.費用が異なる2地域への立地の効率性サービス産業における、地域固有の費用が異なる2地域への企業立地の効率性に関する論文を作成した。寡占のサービス産業において、生産に関わる限界費用が異なるケース、立地に関わる固定費用が異なるケース、両方の費用が異なるケースの3つについて、企業立地が経済厚生を最大にするという意味で効率的か、そうでなければ過剰か、過少かについて確認した。分析の結果、限界費用が異なるケースでは費用の低い地域に企業は過剰に立地するが、固定費用が異なるケースでは過少に立地することが明らかになった。両方の費用が異なるケースでは、産業の総企業数、限界費用・固定費用格差の水準により、効率的・過剰・過少のいずれの可能性も存在しうることが示された。特に、限界費用・固定費用がともに高い地域には過剰に、低い地域には過少に企業が立地する結果が得られた。本研究成果は海外査読誌への投稿に向けて準備中である。また、派生的研究として、東北地方のサービス産業の特徴を踏まえ、市場規模格差と地域内競争の企業への影響に関する論文を作成した。本研究成果は国内学術誌に掲載された。本研究成果は、本研究プロジェクトの成果を地域経済に適用するものであり、プロジェクトの有効性を広くアピールするものと考えられる。2. 外部的規模の経済があるもとでの企業(産業)立地と経済厚生産業の規模により生産費用が影響を受ける外部的規模の経済が存在するもとでの企業(産業)立地と経済厚生に関する論文を作成した。財の輸送費用が低下すると、産業集積が起こる可能性が高まり、このような集積は外部的な規模の経済により、経済全体の厚生を上昇させる。この結果は、近年のグローバル化の影響を説明する意味で重要であり、サービス貿易自由化が経済厚生に与える影響に対しても重要な示唆を与えると考えられる。本研究成果は、海外査読誌へ投稿・審査中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究の目的」で示した、(1)サービス直接投資の厚生評価・政策,(2)垂直的サービス産業における立地の厚生評価,(3)動学的視点の分析,の3つのテーマのうち、2011年度はテーマ(1)を中心に研究活動を行った。研究成果のうち、1本は海外査読誌に投稿・審査中であり、1本は海外査読誌への投稿に向けて準備中であり、1本派生的な研究成果を国内雑誌に掲載している。テーマ(2)については予備的計算に取り掛かっており、テーマ(3)については必要な資料を収集し、研究の方向性について検討中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
テーマ(1)サービス直接投資の厚生評価・政策については、2011年度に実施した研究成果の海外学術誌への掲載を目指すとともに、関連したテーマについてさらに研究を進める。テーマ(2)垂直的サービス産業における立地の厚生評価は、2012年度に中心としたいテーマである。研究成果を作成し、国内外の学会・研究会で報告を行う。関連する研究分野の専門家からの評価・アドバイスを受け、必要な修正を行う。最終的に、海外学術誌に研究成果を投稿する。テーマ(3)動学的視点の分析については、関連研究の資料収集を進め、早急に課題の洗い出しを行うとともに、予備的計算・準備に着手する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究では、各テーマについて専門的に研究している研究者とのディスカッションを実施すること、研究成果を早い段階で発表していくことから、効率的に研究を遂行していくことが期待されている。そのため、ディスカッションや研究成果発表を目的とした旅費の支出の割合が高まることが予想される。その他、効率的なモデル分析をすすめるために数値計算・シミュレーションソフトウェア等を活用する可能性がある。また、研究成果を国際的な学術誌に掲載させるためには、英文を正しく理解されるように書かなくてはならない。そのため、ネイティブチェックの費用を十分に確保する必要がある。
|