2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23730244
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
倉田 洋 東北学院大学, 経済学部, 准教授 (60411245)
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Keywords | サービス産業 / 企業立地 / 継起的寡占 / 自由参入 / 地域統合 |
Research Abstract |
(1) 継起的寡占における自由参入の効率性 部品・原材料といった中間財市場と、それらを加工してできた最終財の市場の両方で企業数が限定されている継起的寡占とよばれる状況において、両市場で自由に参入が行われるとき、参入企業数が経済厚生の観点から効率的か、そうでなければ過剰か過少かについて検討した。最終財市場のみを考慮する場合、自由参入均衡は過剰参入となることが知られている。最終財市場のみならず中間財市場をも考慮する先行研究では中間財市場・最終財市場のいずれかの自由参入を考え、参入企業数が過少となる可能性が示されている。本研究は、両市場の自由参入を考えたより一般的な設定のもとで、需要曲線の凸性が強い、企業数が非常に少ないという条件が成立すれば、中間財・最終財のどちらの市場でも過少参入となる可能性を示した。 (2) 戦略的地域統合の可能性 3国の寡占モデルを用いて、グローバル化によって貿易可能な国が増えるような状況において、既に貿易をしている国同士が戦略的に経済統合を行うインセンティブを持つことを明らかにした。貿易国は貿易にかかる費用を低くするように経済統合を進めることで、新規参入国からの輸入をブロックすることができる。このように貿易国の経済統合が戦略的に行われるためには、貿易を行うための費用が極端に高くも低くもないことが必要となる。貿易を行う費用が極端に高いときには参入を認めて競争を行うのが有利であり、貿易を行う費用が極端に低いときには経済統合しても参入をブロックすることができない。この結果は、サービス産業において、サービスの提供を行うための費用が極端に高い・低い状態でない限り、サービス産業における国内規制・基準の統一化を図るなどの方法で経済統合を進めれば、新興国企業の参入が遮断される可能性があることを示唆している。
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