2012 Fiscal Year Research-status Report
空間経済学の新しいアプローチ―理論,構造推定,カウンターファクチュアル―
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23730254
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
村田 安寧 日本大学, 大学院総合科学研究科, 教授 (40336508)
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Keywords | 競争促進効果 / 企業淘汰効果 / マークアップ / 生産性 / 都市規模分布 / 輸送費用 / 通勤費用 / 構造推定 |
Research Abstract |
平成23年度に構築した所得効果,競争促進効果,企業淘汰効果を含む空間経済モデルを構造推定した。モデルの均衡条件や都市圏データなどを用いることにより,都市間の輸送費用や都市内の通勤費用といった空間的摩擦を引き起こす変数を定量化した。さらに,企業の異質性を生成するパレート分布のパラメータや,観察不可能な各都市のアメニティの値を明らかにした。 こうして得られた新しい枠組みは,Krugman (1979, 1980)やMelitz (2003)の貿易理論とFujita (1989)の都市経済理論を統合しており,理論的に重要である。さらに,Anderson and van Wincoop (2003)の人口を所与とした多地域モデルの構造推定を,人口移動がある場合へ拡張しており,実証的にも重要である。 また,構造モデルを用いることにより,都市間の輸送費用や都市内の通勤費用の減少が,経済活動の地理的分布,都市における競争環境や生産性に与える影響を定量的に分析できるので,本研究は政策的な観点からも有意義である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書どおりに研究の目的を達成できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
構造推定された空間経済モデルを用いて,counterfactual分析を行う。都市内の通勤費用や都市間の輸送費用を捨象した仮想的な均衡と,それらが存在する実際の均衡をそれぞれ定量化することにより,ヒトやモノの移動における摩擦の役割を空間経済学の枠組みを用いて明らかにする。特に,都市内の通勤費用や都市間の輸送費用が都市規模分布,各都市の人口,競争,生産性にとってどの程度重要なのかを定量的に明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
現有の設備や電子メールなどを利用することにより,物品費や旅費の支出を次年度に先送りした。
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