2013 Fiscal Year Annual Research Report
戦略的相互依存関係の下での拡大生産者責任の理論研究
Project/Area Number |
23730256
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
大堀 秀一 関西大学, 総合情報学部, 准教授 (70378959)
|
Keywords | 拡大生産者責任 / 耐久消費財 |
Research Abstract |
今年度は、耐久消費財の製品特性から生じる生産者の戦略的行動を考慮に入れた、拡大生産者責任関連規制の有効性を、経済効率性、環境改善性及び市場の競争性の観点から分析を行った。 特に、耐久消費財の製品処理費用の徴収のタイミングに関する分析を行った。製品回収・処理費用を、耐久消費財のライフサイクルのどの時点において徴収するかについて、自動車産業では、製品価格の一部に処理費用を含める前払いを採用し、家電メーカーは廃棄時点に費用を支払う後払いを採用している。不法投棄を防ぐ観点からは先払い制度が望ましいと考えられているが、耐久消費財への前払い制度は製品価格への過大な上乗せを招き、経済厚生を損なう可能性がある。一方、後払いの場合、消費者が製品を使い続けるインセンティブを与えるため、修理・メンテナンスを通じて製品寿命が長くなり、ゴミの軽減になる可能性がある。このように、製品処理費用の徴収のタイミングは、生産者が選択する耐久性に影響を与える可能性があるため、どちらの制度が望ましいか自明ではない。 以上のような問題を明らかにするため、2期間耐久消費財モデルを拡張し、廃棄物処理費用回収のタイミングが経済厚生に与える影響を分析した。結果は次のとおりである。先払い制度では、費用負担による需要の減少が大きく、消費者余剰が減少する。さらに、企業は高品質な耐久性の高い製品を供給せざるを得ない。一方、後払い制度は、割引現在価値で評価した費用負担が小さくなるため、需要と消費者余剰の減少を抑えられるが、企業は将来の買い替え需要を狙って製品の耐久性を低めに設定する誘因をもつ。
|
Research Products
(1 results)