2011 Fiscal Year Research-status Report
国際共有資源の持続的利用に向けた協調的資源管理政策に関する理論分析
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23730257
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
寳多 康弘 南山大学, 総合政策学部, 准教授 (60327137)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 再生可能資源 / 資源管理 / 貿易自由化 / 国際共有資源 / 国際協調 |
Research Abstract |
本研究の目的は、国際貿易がある下で、水産資源や地下水といった国際的に共有される再生可能資源の管理について、一般均衡モデルを用いて分析することである。特に水産資源については、経済発展を背景に需要が高まって貿易も活発であり、過剰利用による枯渇を回避するために適切な管理が望まれている。国際貿易がある下での協調的な資源管理が達成されるための条件を導出・解釈する。本年度は研究の初年度であるが、概ね予定通りの研究を行うことができた。まず研究成果として、資源管理がない状況での国際共有再生可能資源モデルの論文が、海外査読付専門誌Review of International Economicsにアクセプトされた。このモデルでは、再生可能資源の動学的要素(logistic equation)を含んだ一般均衡モデルで、定常均衡だけでなく移行過程についても考察している。特徴は、資源ストックを両国が共有するため、完全特化均衡が生じやすいことである。また、様々な資源管理の特性を小国モデルで分析した研究成果も出版することができた。これらを参考に資源管理の基本モデルを構築した。国内外の資源管理の実態を知るための資料などの調査を行った。国内外の学会・研究会に参加するなどして、基本モデルの評価を受けるとともに、最新の研究動向も調査した。政府は定常状態における厚生を最大化するように規制をしていて、長期的視野を持った政府であり、そのような政府だとしても協調が達成できない場合があるかどうかを明らかにして、資源管理の頑健性を考察する必要がある。既存研究と調査結果を踏まえて、基本モデルを構築することができた。基本モデルの特性を理解することに努め、平成24年度以降の資源管理の応用分析に備えることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標は、貿易がある下での国際共有資源の管理分析のための基本モデルの構築である。国内外の資源管理の実態を知るための資料などの調査を行い、国内外の学会・研究会に参加するなどして基本モデルの評価を受け、最新の研究動向も調査することができた。現実に即した理論モデルの構築に必要な知見を得ることができた。研究成果として、資源管理がない状況での国際共有再生可能資源の一般均衡貿易モデルの論文が、海外査読付専門誌Review of International Economicsにアクセプトされた。このことで、分析の基礎となる理論モデルが高く評価されたことになり、そのモデルへの資源管理の導入の意義が非常に高いことが明らかとなった。上記のモデルは、定常状態に焦点を絞った分析である。資源管理の方法としては、政府は定常状態における厚生を最大化するように規制をしていて、長期的視野を持った政府であると仮定して分析する。そのような政府だとしても協調が達成できない場合があるかどうかを明らかにして、資源管理の頑健性を考察することができる。世界の定常状態の厚生を最大化する最善の資源管理と、上述の各国独自の資源管理との基本的な比較分析を行うことができた。これにより、基本モデルの特性や扱いやすさが明らかとなり、今後の応用分析に道が開かれたといってよい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本年度に構築した基本モデルを基に、応用分析を行うこととなる。具体的には、以下の3点について明らかにする予定である。各国が独自に資源管理を実施する場合の効果を詳細に明らかにする。その資源管理の各国の生産量、資源ストック、経済厚生などへの影響を明らかにする。その際、規制を行わないオープンアクセスの場合との比較検討を行い、資源管理の有効性を考察する。資源管理の国際協調の可能性およびその効果を明らかにする。国際共有資源を利用する2カ国の間で、協調して規制を実施・強化することによって、2カ国の厚生と資源水準の改善というWin-Win-Winの関係が、どのような条件下で得られるかを明らかにする。その際、資源部門はレントがある産業なので、貿易自由化で資源部門が縮小する国は、経済的利益が損なわれてしまう。その点を十分に考慮した上で、結果を解釈する。資源管理には様々な方法があり、資源管理手法の間で比較検討を大国モデルを用いて行い、資源管理の特性を明らかにする。例えば、投入量規制は、生産要素の投入量や使用する生産技術などを規制することで、間接的に生産量を管理するもので、一般に産出量規制よりも経済効率性が劣っているといわれている。産出量規制の有効性を検証し、産出量規制の頑健性を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
資源管理の実態について、不足するデータや資料を引き続き収集する。図書などを購入する必要がある。最新の研究動向を調査するために、国内外の学会や研究会に積極的に参加する。また、新たな分析結果が得られた時点で、国内外の研究会などで報告を行い、外部評価を受けて、コメントなどを参考に研究の内容を精査して改善に努める。このためには、旅費が必要である。より実態にあった理論分析を進めるために、専門家を招聘するための旅費と専門的知識への謝金が必要となる。研究成果をまとめるための印刷費や査読付雑誌への投稿のための英文校閲および投稿料も必要である。
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