2011 Fiscal Year Research-status Report
保険市場における情報の非対称性に起因する厚生損失の計測
Project/Area Number |
23730261
|
Research Institution | Tezukayama University |
Principal Investigator |
斉藤 都美 帝塚山大学, 経済学部, 准教授 (00376964)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 保険 / 厚生 / 情報の非対称性 / 年金 |
Research Abstract |
本年度は,構造推定モデルを構築し,自動車保険ミクロデータを用いて厚生損失を大まかなレベルまで推定する作業を行った.まず,Einav and Cohen (2010, AER)をベースにしつつ,日本の自動車保険市場の特徴を考慮してモデルを改良した.具体的には自動車保険料率算定会の料率規制下の自動車保険市場を独占的市場とみなし,そのもとでの厚生損失の大きさを測るモデルを検討した.この結果は,Kitahara and Saito (2011)にまとめられている. 次に,自動車保険のミクロデータを用いて,Kitahara and Saito (2011)で検討したモデルから厚生損失の大きさを推定する作業を行った.現在はその推定結果のチェックとまとめの段階にある. 当初計画からの変更点として,年金の分析を単独ではなく共同で進めることにしたことが挙げられる.これは年金が制度的に複雑であり,制度面での詳細を考慮するため,他の研究者と連携しながら進めた方が良いと判断したからである.具体的には日本大学の宮里尚三氏,慶応大学の別所俊一郎氏と共同で,異なる課題として進めることにした.データはメンバーで相談した結果,独立行政法人経済産業研究所などが公開しているJSTAR(『くらしと健康の調査』)の個票データを利用する.手法的にはEinav and Finkelstein (2011, JEP)をベースにしつつ,年金未加入による厚生損失の大きさなどについて分析を進める予定である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
課題研究期間の1年目に,本務校において教育・大学運営面で多くの仕事が重なり,十分な研究時間を取ることが困難であった.また課題研究期間の2年目から研究代表者の所属が変わることになり,そのための事務的な手続きや,講義準備のために時間が取られた.
|
Strategy for Future Research Activity |
データが手元にあり,分析手法も目途が立っているため,できる限り正確な推定結果を出すべく,研究の時間を作り出すことが今後の方策である.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の主な使用用途は,図書・資料費と,研究打ち合わせや学会報告のための旅費が主なものである.
|
Research Products
(1 results)