2016 Fiscal Year Research-status Report
環境技術協力に関する国際協定が地球温暖化防止への国際協調に与える影響
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23730265
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Research Institution | Research Institute of Innovative Technology for the Earth |
Principal Investigator |
長島 美由紀 公益財団法人地球環境産業技術研究機構, その他部局等, 主任研究員 (50594355)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2018-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 / 国際情報交換 / オランダ / 気候変動問題 / 環境技術移転 / 応用ゲーム理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年にフランス・パリで開催された国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)の第21回締約国会議(COP21)において合意されたパリ協定第10条では、温室効果ガス削減のための技術開発と技術移転の実現の重要性に関する長期ビジョンの共有、また気候変動対策のための資金については同協定第9条において公的資金の重要な役割に留意しつつも、様々な資金源、手段を通じた気候資金の動員を引き続き率先することが合意された。 このような背景の下で、本年度は環境技術協力及び低炭素技術投資を促進するための資金の役割、特に民間部門の資金を動員してこれらの技術投資を促すためにはどのような政策が有効であるかを理論面から検討した。 また、主要なエネルギー・経済・環境評価モデルにおける気候変動対策のための投資額の導出方法並びにその結果について先行研究のサーベイを行った。特に、応用一般均衡モデル(CGE)及びマクロ計量モデルで得られた結果の比較を行い、それぞれのモデルの特徴や政策分析における課題についてまとめた。具体的にはCGEモデルでは気候変動対策のための投資の増加は「他の経済における投資の削減」や「貯蓄の増加」を意味するため、気候変動対策による負の経済影響が生じるが、マクロ計量モデルでは気候変動対策のための投資は他の投資をクラウディングアウトするものではなく経済刺激になりうることを示している。政策分析をする際にはこれらのモデルの特徴について理解を深めることが重要である。 更に、UNFCCCの下に設立された技術メカニズムでは途上国への低炭素技術の移転促進に関する議論がなされており、技術メカニズムの現状調査並びに2020年以降の環境技術協力に関する技術協力システムについて考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2015年9月末から2016年10月末まで産前産後及び育児休暇のため研究を中断したため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は環境技術協力及び低炭素技術投資を促進するための資金の役割、特に民間部門の資金を動員してこれらの技術投資を促すためにはどのような政策が有効であるかを理論面から引き続き検討する。また、気候変動対策のための投資を促進するための国際協調のあり方や理論と現実の意思決定下で導出される投資行動を検討する。 更に、引き続き技術メカニズムの現状調査並びに2020年以降の環境技術協力に関する技術協力システムについて考察する。
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Causes of Carryover |
産前産後の休暇及び育児休業による中断のため、当該年度の支出実績がない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の直接経費の細目について、図書購入費(約500,000円)、プログラミングソフト(約300,000円)の研究費の使用を予定している。
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