2014 Fiscal Year Research-status Report
ウズベキスタンにおけるコミュニティ社会の変容-ネットワークの動態分析
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23730267
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
樋渡 雅人 北海道大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (50547172)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 開発政策 / 社会ネットワーク / 移民 / 中央アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,ウズベキスタンの農村地域のコミュニティ(マハッラ)を対象に,独自調査によって収集したネットワーク・データを用いて,コミュニティに内在する社会ネットワーク(互助関係,血縁関係,その他の社会関係)の構造や変化の動態を捉えることを通して,開発政策や社会変容に対する含意を得ることである.本年度は,前年度に引き続き,収集データを用いた分析を継続し,研究報告を行った.また,9月には,25年度に計画していたものの延期となっていた現地調査を実施した.そこでは,コミュニティにおける社会ネットワークの動態について,特に就業や生産との関連から情報収集を行った. まず,前年度に引き続き,国外労働移民と社会ネットワークの関係性についての検証を進めた.一般化空間最小二乗法を用いたネットワークのピア効果(隣人効果)の分析結果については,5月に比較経済学の国際学会(ハワイ)において発表したうえで,国際学術誌に投稿中である(修正・再投稿中).その過程で分析手法の大幅な修正・改善を施したが,ネットワークのピア効果が移民送出に強い正の効果をもたらし得るという結論は変わっていない.また,社会ネットワークの分析の延長として,ウズベキスタンのパトロネージ・ネットワークの政治経済的役割に関する論考を国内学会で発表,その後投稿し,査読誌に公刊された.さらに,9月の調査も踏まえ,就業と生産活動における社会ネットワークの効果を分析し,隣人間の助け合いのありようをピア効果の観点から分析中である.分析結果は,2015年6月にローマで開催される比較経済学の世界大会で報告する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
26年度は,学会報告や論文投稿の他,25年度に計画していたものの現地情勢などのために延期となっていた現地調査を実施した.そこでは,本課題のテーマであるコミュニティにおける社会ネットワークの動態について,特に就業や生産との関連から情報収集を行った.しかし,これらの新しい補完資料と既存のネットワーク・データを組み合わせた分析結果の発表は,資料入手が遅れたことの影響で26年度中には実施できず,そのため,研究費の繰り越し使用の請求を行った.
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Strategy for Future Research Activity |
27年度に繰り越した研究費を用いて,就業と生産活動における社会ネットワークの役割を扱った論考を,2015年6月にローマで開催される比較経済学の世界大会で報告する.報告後,改訂原稿を国際学術誌に投稿する予定である.
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Causes of Carryover |
26年度は,25年度に計画していたものの現地情勢などのために延期となっていた現地調査を実施した.そこでは,本課題のテーマであるコミュニティにおける社会ネットワークの動態について,特に就業や生産との関連から情報収集を行った.しかし,これらの新しい補完資料と既存のネットワーク・データを組み合わせた分析結果の発表は,資料入手が遅れたことの影響で26年度中には実施できなかった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
このため,就業と生産活動における社会ネットワークの効果を扱った論考は2015年6月にローマで開催される比較経済学の世界大会で報告することとし,未使用額は,そのための準備(英文校正),及び旅費に充てることにしたい.
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Research Products
(3 results)