2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23730271
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 綾 東京大学, 新領域創成科学研究科, 講師 (20537138)
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Keywords | 経済政策 / ミクロ経済分析 / 産業発展 / 貧困削減 / リスク / アフリカ / ガーナ |
Research Abstract |
本研究では、貧困削減の一助となるとして注目を集める付加価値の高い輸出園芸産業の一例として、ガーナのパイナップル産業を事例に調査を行っている。H19年に筆者が行った調査では、同市場に零細農家が参入するためにはリスク分散能力が重要であることが判明した。しかし、H19年の調査では個々人の農家のリスク選好を計測する質問は行わなかったため、実際にどのくらい重要であるのかを定量的に分析することはできなかった。そこで、H23年度に本研究費を使って再度現地を訪れ、ガーナ大学統計社会経済研究所の協力を得て、前回調査を行った農家約250世帯に対してインタビューとリスク選好を計測するための簡単な実験を行い、パネルデータを作成した。 H24年度は、収集したデータの分析を開始した。まず質問票を整理し、分析に使用可能なサンプルとそうでないものに仕分けし、その後、時間を掛けてデータクリーニングを行った。また、リスク選好の測定を行い、それがパイナップル農家として長年生き残る要因になっているかどうかの分析を行った。それらの結果を元に論文の作成を進めてきたが、以下の理由から研究は計画通りに進まなかった。 第一点には、分析開始後に、現地機関から入手したデータに不備があることが判明し、先方に修正依頼を行った。そのため、しばらく分析ができない期間が生じた。第二点には、データ再入手後に分析、論文執筆を進めたが、H24年度は妊娠中で予定していた国外の学会参加が難しくなり、予定していた学会に応募できなかったことがある。第三点には、結果として年度中に産前休暇に入ったため、本研究を一時中断することとなったことである。H25年度後半から研究を再開する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上述のとおり、研究が遅れてしまった理由は主に三つある。第一に現地機関から入手したデータに不備があることが判明し、修正を依頼したために分析できなかった期間が生じたこと、第二に妊娠中であったために国外の学会参加が難しかったこと、第三に、年度内に産前休暇に入り、研究を一時中断せざるを得なかったことが挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
H25年度後半から研究を再開する予定であるが、研究再開後は、これまでに行ってきた家計データの分析と、その結果に基づいた学術論文の執筆を継続して行い、学術誌や学会報告への投稿を行う。論文では、ガーナ・パイナップル産業の変容を記述的に丁寧に説明するとともに、パイナップル生産農家と非生産農家のリスク選好の違いや、現在でもパイナップル生産農家として(あるいは契約農家として)生き残っている農家と、パイナップル生産をやめてしまった農家の違いなどにつき仮説を立て、それらを実証するため、入手したデータを計量経済学の手法を用いて定量的に分析する予定である。 具体的な発表の媒体としては、日本経済学会や国際開発学会などの国内の学会、またオクスフォード大学アフリカ経済研究所、太平洋開発経済学会(PACDEV)などの国外の学会を目指している。また、最終的な研究成果はガーナ国の政策担当者にも報告し、実際の政策現場で活用してもらえれば幸いである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H25年度に持ち越した研究費は、論文執筆のために必要な備品の購入や国際的な学会において研究報告を行う際の渡航費や参加費に充てる計画である。
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