2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23730271
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 綾 東京大学, 新領域創成科学研究科, 講師 (20537138)
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Keywords | 経済政策 / ミクロ経済分析 / 産業発展 / 貧困削減 / リスク / アフリカ / ガーナ / 農業 |
Research Abstract |
本研究では、貧困削減の一助になるとして注目を集める付加価値の高い輸出園芸産業の一例として、ガーナのパイナップル産業を事例に調査を行った。H19年に筆者が行った調査では、同市場に零細農家が参入するためにはリスク分散能力が重要であることが判明した。しかし、H19年の調査では個々人の農家のリスク選好を計測する質問は行わなかったため、実際にどのくらい重要であるのかを定量的に分析することはできなかった。そこで、H23年度に本研究費を使って再度現地を訪れ、ガーナ大学統計社会経済研究所の協力を得て、前回調査を行った農家約250世帯に対してインタビューとリスク選好を計測するための簡単な実験を行い、パネルデータを作成した。 H24年度の後半からH25年度前半の育児休暇を経て、H25年度後半に研究に復帰し、収集したデータの解析を行い、論文を執筆した。その結果、農家のリスク選好はパイナップル生産という技術採用に影響を及ぼしており、更にその技術を長期間採用し続けていくこと(サバイバル)にも影響を与えていることが分かった。つまり、リスク嫌いの度合いが高い農家は、パイナップルを栽培しても、栽培し続ける期間が短かった。更に、生産者の教育年数はリスク選好が技術の長期間の採用に及ぼす影響を補完する役割があることが分かった。また、パイナップルは近年、世界的に新品種(MD2)へ移行したが、伝統品種のみを栽培していたガーナの生産者がどのような影響を受けたのかを分析した。その結果、MD2以降は市場のリスクが高まったことが認識されたのか、パイナップルを継続して栽培する期間がそれ以前よりも短くなったことが分かった。しかし、リスク選好が技術の長期間の採用に及ぼす影響は、MD2前後の時点で、統計的に有意な差は見られなかった。一方で、リスク選好がパイナップル栽培の採用に与える影響自体は、近年拡大していることが明らかになった。
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Research Products
(4 results)